中国を代表する巨大複合企業、恒大集団(エヴァーグランデ)が債務不履行の危機に陥っており、ブラジルを含めた世界経済に危機をもたらす可能性が高まっている。20、21日付現地紙、サイトが報じている。
1996年創業、広東省深圳に拠点を置く恒大集団は中国を代表する不動産開発大手で、業者の許家印氏は中国屈指の富豪として知られている。だが、その恒大の株価が20日に10%以上下落。同社が上場している香港の証券取引所でも3・30%の暴落が起こるなど、国際市場に緊張感が走った。
この影響を受け、サンパウロ証券取引所の指数(Ibovespa)も20日は2・33%減を記録し、終値は今年最低となる10万8843ポイントまで下がった。
この暴落が起こった理由は、恒大が巨額の負債を抱え、債務不履行の可能性について改めて警告を受けたことにある。20日は一部の銀行融資の利払い予定日だったが、中国当局が主要銀行に支払いは受けられないと伝えたという。
債務不履行に向かい始めた発端は昨年8月、恒大が広東省に対し、21年1月に予定されていた債務返済を延期するよう申し入れたことだ。このときは同社最大の投資家たちの働きかけにより、その当時抱えていた負債のうち、130億ドルの支払期限を延長することができたが、その後も負債はかさみ、現時点で3千億ドルを超えるに至っている。
恒大は2023年の半ばまでに負債額を1千億ドル減らすと宣言しているが、現時点では80億レアルしか減らせていない。
危惧されることのひとつは、中国のGDP(国内総生産)に与える悪影響だ。建設業は同国のGDPの7%を占め、供給部門や間接雇用も含めると25%近くに達する。負債で建設が滞れば、市場価値のさらなる暴落が考えられる。
恒大への貸付のほとんどは、中国国内の銀行によるもの。負債が払われない場合、これらの金融機関が被害を被ることとなり、広い範囲の産業活動への貸付停滞が引き起こされる可能性もある。
また、建設部門は中国の中でも最大のコモディティ(一次産品)消費部門だ。しかも、中国はコモディティの国際市場の鍵を握る国だから、中国経済が落ち込めばコモディティの輸出が経済を支えているブラジルには大きな打撃となる。
中国はブラジル最大の貿易相手国で、今年1~5月のブラジルの貿易収支黒字額は中国への輸出総額の70・4%相当額となっている。
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