【既報関連】保健省が22日夜、15日に出した基礎疾患のない青少年への新型コロナの予防接種中止勧告を撤回したと同日付現地サイトが報じた。ケイロガ保健相が新型コロナへの感染判明で米国に残り、隔離状態に入ったため、勧告撤回は代行中のロドリゴ・クルス副大臣が行った。
ケイロガ氏は中止勧告を出した理由の一つにサンパウロ大都市圏在住の少女の死をあげたが、その死と接種は無関係である事はサンパウロ州疫学監視センターの報告書で明らかにされ、サンパウロ州保健局も17日に自己免疫疾患が原因と発表。国家衛生監督庁(Anvisa)も20日に同報告書を承認した。
少女の死が自己免疫疾患の血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)による事は保健省も21日に認めたが、中止勧告の撤回は、Anvisaとオズワルド・クルス財団(Fiocruz)も交えた委員会での協議後に行われた。
ANvisaは21日に、ワクチンその他の免疫生物学のファーマコビジランスに関する機関間委員会(CIFAVI)の会合でも報告書を審議しており、接種と死は無関係との判断されたと、保健省も含む3者委員会で報告している。
接種中止勧告は省内の専門家にも相談せずに決められ、同省や自治体の防疫担当者や医師を驚かせた。青少年や保護者、教育関係者からも不満や批判の声が出ていた。
保健省の判断に反対して最高裁に訴えた政党もあり、リカルド・レワンドウスキー判事は21日に、中止勧告は科学的な根拠に欠けるから、ワクチン製造会社やAnvisaのような専門家、科学者の意見に従うなら、州や市も基礎疾患のない青少年への接種についての判断を行えるとの予備的判断も出していた。
なお、ケイロガ保健相は感染判明後、自分はコロナバックの接種を完了し、マスクも使っていたのに感染し、未接種でマスクも着けていない大統領は感染しないのはおかしいという趣旨のメッセージをSNSに掲載。
メッセージは削除されたが、同相は1月に接種を受けており、抗体が低下し始めていた可能性がある。接種完了者の感染(ブレークスルー)は世界的関心事で、ブラジルでも高齢者や免疫力の低い人への補強接種が行われているが、保健省は青少年への接種でも基礎疾患や免疫力低下などの問題のある人を優先する事を忘れずにと注意を促した。
Fiocruzは22日、コロナ感染症者用集中治療室の占有率低下が続き、80%超の自治体はなくなったとの報告を出したが、7日以降は死者減少が止まり、安定状態だから、油断は禁物だ。