サンパウロ州内陸部で26日午後、土埃による赤黒く巨大な雲が町全体を覆い、昼日中なのにあたかも夜かと思うほど暗くなるという珍しい現象が生じた。
フランカ市が巨大な雲に覆われたのは午後5時頃で、急に現れた巨大な雲が町全体を飲み込むと思った人もいたという。雲の高さは高層ビルをはるかに超え、強い風も感じられたという。
リベイロン・プレット市やジャルジノポリス市が巨大な雲に覆われたのはそれより2時間位前で、その後に強い雨を見た。リベイロン・プレット市の場合、巨大な雲の後に降り始めた雨が、2時間で24・4ミリに及んだ。
同じように、巨大な雲の後に強い雨を見たのは、オルランジア、ジャルジノポリス、ヴィラドウロ、フランカなどだ。また、ミナス・ジェライス州の三角地帯でも巨大な雲の発生が報告されている。
サンパウロ州内陸部は非常に強い干ばつが続いており、環境保護区も含む広い範囲で森林火災が発生。干ばつや火災の被害は農産物にも及び、農村部では民家が延焼する事態も発生。少なくとも2人が死亡している。
今回の赤黒い雲は、異常乾燥で起きた森林火災や畑の火災で生じた灰や土埃が、地表が暖められた事で生じた上昇気流の下にもぐりこむように流れ込んだ冷たい大気で巻き上げられてできたもので、その後の雨は強い上昇気流によって生じた雲が降らせたものだ。
リベイロン・プレット市では雲の発生時に時速100キロに及ぶ風が観測された。近隣のプラドポリス市でも時速80キロの風を記録している。
地表が強い太陽光線で暖められた時や寒冷前線が接近している時は、強い上昇気流が生じて雷や雹、強風と雨を記録する事があるが、これほど広範囲かつ巨大な土埃の雲の発生は珍しく、こんな体験は初めていう声も聞かれたようだ。
サンパウロ州内陸部での異常乾燥は2カ月以上前から深刻化しており、輪番制の給水制限や車や歩道を流水で洗ったら罰金などの節水対策も採られている。フランカ市では27日から、市内全域を3分割し、36時間給水、36時間断水という輪番給水が始まっている。
サンパウロ州水道公社は26日夜、大量の土埃による被害を認めつつ、「家の中や庭、歩道その他を掃除する際も、水を無駄遣いしないように気をつけて」と呼びかけた。