9月23日、ブラジルの台湾貿易センター(TAITRA)の呂秀玲主任と2人の秘書、在サンパウロ台北経済文化事務所の蔡正文副領事の4人が、ブラジル日本商工会議所(村田俊典会頭)を訪れ、平田藤義事務局長と意見交換した。呂氏は台湾彰化県生まれで、2017年よりブラジルに赴任。
与論島(鹿児島県)で育った平田氏は、「私にとって台湾はいつも身近な存在。言葉は違っても温かい人々の親切が与論島と同じだったことは今も忘れません」と、自らの思い出話を交え、ブラジルでのビジネスに貢献する4人を心から歓迎した。
ブラジルでも日台コラボに期待
台湾貿易センターは、1970年に台湾の対外貿易の促進を目的に、台湾政府と業界団体の支援により設立された。日本のジェトロに相当する非営利公的貿易振興機構だ。台湾では台北の本部の他に5拠点、世界各地に63カ所の事務所があり、南米ではブラジルの1ヵ所。
台湾企業のブラジルでの競争力強化、市場への進出、ブラジル企業とのビジネスマッチング、ブラジル企業の台湾調達、投資や技術協力提携などをサポートし、パンデミックに入るまでは、毎年台湾から約300グループが国外に、ブラジルからは約300人が台湾にビジネスの視察旅行に訪れていた。
呂氏は「台湾は産業構造の近い国々と世界各地でコラボレートしています。現在、台湾とブラジルの貿易では、電子産業が半数以上を占めています。今後はブラジルでまだ発展していないスマートマシンやAIなどの分野で、日本とコラボしてブラジル市場を開拓する余地があると思います」と提言した。
台湾貿易センターの仕事には、台湾での国際専門見本市の主催や海外でのイベントへの参加もある。例えば、スペインのマラソン大会に参加して、台湾のスポーツ用品メーカーを紹介するなど、台湾ブランドの知名度を高めていくのがねらい。
パンデミックに入ってからは、対面からオンラインのイベントに切り替え、ブラジルでも毎月5、6回のイベントを開催してきた。今年前半だけで、270社以上のブラジル企業が参加した。
「今まではブラジル企業を招待してきましたが、今後は日系企業にも参加していただきたいと願っています」と、呂氏はブラジルの日系社会にも思いを寄せる。以前、台湾貿易センターのイベントに参加して、商品を購入した日本企業があったことも話題に挙げた。
厳しいブラジル市場も日台が手を取り合い
平田氏は商工会議所の沿革と日本企業のブラジル進出、ブラジル経済の発展なども簡単に解説。
呂氏はそれに呼応して「台湾では、1950年代の海外への輸出品といえば農産物、工業化が始まった60年代には車の部品やおもちゃなど、そして70年代からは電子産業が発展し、80年代には台湾の奇跡が始まりました」と説明。
平田氏は、ジウマ大統領(2011―2016年)の時代に台湾本社のフォックスコンがブラジルに進出し、10万人の雇用を創出するとメディアでも大体的に紹介されたことを振り返った。
「台湾の人々はとてもフットワークが良くバイタリティがあり、ブラジルでも色々な場所で営業に回っていました」と、思い起こす。しかし、フォックスコンは労務問題などで2017年にタブレット工場の操業を停止し、引き上げを余儀なくされた。
「ブラジルはビジネスが難しい国なのも事実。昔から関係が良好な台湾と日本でコラボしなければならないと思っていましたが、今日、呂さんからそのような話が聞けたことはとても嬉しかったです」と平田氏は頬を緩めた。(続く)
台湾貿易センターのサイト:https://www.taitra.org.tw/
日台貿易に関する情報サイト:https://taiwan-japan.taiwantrade.com/jp