民主社会党(PSDB)が11月に予定している22年大統領選の公式候補を選ぶ党内選挙に関し、党重鎮のひとりであるタッソ・ジェレイサッチ上議がエドゥアルド・レイテ・リオ・グランデ・ド・スル州知事を推薦することを表明。レイテ氏とジョアン・ドリア・サンパウロ州知事との争いが激化している。29日付現地紙が報じている。
タッソ氏は28日、ブラジリアで声明を発表し、自身も出馬に意欲を見せていた大統領選候補の党内選挙への出馬断念を表明すると同時に、レイテ氏の支持を発表した。
タッソ氏は「今の政治的状況は、1988年にPSDBが創設された当時に似ている。大統領が独裁制を求め、それに対抗している状況だ」「まさに今あのときの精神を思い出し、わが党が果たすべき役目を担うべきだ」と宣言。そして「リオ・グランデ・ド・スル州知事はすべての資質を備え、私たちの今の状況に応える能力を持っている。私と考え方も同じだ」とレイテ氏を強く推薦した。
PSDBの大統領候補は昨年まで、一般的な知名度などからもドリア氏が絶対的な存在と見られていた。現状でも、大統領選の世論調査での同党の候補は同氏でシミュレーションされており、決選投票でボルソナロ大統領に勝利するとの予想も出ている。
だが、特に今年に入り、レイテ氏の株が急上昇している。同氏は36歳の若さでリオ・グランデ・ド・スルのような大きな州の知事をつとめていることに加え、保守政党としてはめずらしい同性愛者であることなど、世間にアピールする要素が少なくない。
また、現役企業家のドリア氏はPSDBの古参メンバーからの受けがかねてから悪く、その不満分子の支持をレイテ氏が集めているという経緯がある。2017年のアエシオ・ネーヴェス氏の収賄疑惑での停職時に党首代行を務めたタッソ氏もそのひとりだ。
また、同日の声明発表には、サンパウロ州選出上議のジョゼ・アニーバル氏や同党党首のブルーノ・アラウージョ氏などもリモートで参加。同党下院リーダーでミナス州選出のロドリゴ・デ・カストロ下議も、レイテ氏への支援を表明した。
現状での党内選挙への支持状況は、レイテ氏がリオ・グランデ・ド・スル、ミナス・ジェライス、パラナ、バイア、セアラー、アラゴアス、アマパーの7州の支持を得ているのに対し、ドリア氏はサンパウロ州、パラー、連邦直轄区、アクレー、トカンチンスの5州の支持となっている。セアラー選出のタッソ氏によるレイテ氏支持宣言は北東伯の州への影響が予想されている。