ホーム | 日系社会ニュース | 50年ぶりの祖国で浦島太郎(9)=サンパウロ市 広橋勝造=故郷で一番懐かしい場所

50年ぶりの祖国で浦島太郎(9)=サンパウロ市 広橋勝造=故郷で一番懐かしい場所

博多ラーメン(Hykw-a4, via Wikimedia Commons)

博多ラーメン(Hykw-a4, via Wikimedia Commons)

 博多は、ラーメンが有名だそうだ。18歳で東京に出て、そのあとブラジルに渡った俺は、博多ラーメンが有名になったのを知らなかった。
 しかし、博多の魚市場にあった長浜ラーメンは知っていた。高校は博多湾を横切って通わなければならなかったので、毎日、路面電車と船を乗り継いで通った。それで、桟橋までの路面電車を倹約し、それで貯めたお金で週に一回、長浜ラーメンを友達と一緒に食っていたからだ。
 東京に出てから58年ぶりに戻った事で、兄貴が気を利かせて「何処か、懐かしゅうて行きたい所があるか?」と聞いて来た。
 俺は1分ほど考えて第一番に浮かんできた言葉が、自分でも意外だった。“長浜ラーメン”だった。
兄貴「じゃー、連れて行ってやろう」
 車で15分くらいで、昔魚市場だった所に着いた。現在の立派な魚市場からもそう遠くない。「元祖、長浜ラーメン」の看板が掛かった店に入った。
 昔、美味しくてむさぼって食ってたラーメンだったが、口が肥えた今では「まぁー、まぁー」だ。でも懐かしさを満喫して、店を出た。
 すると目の前に、なんと!「本家 長浜ラーメン」の旗がひらめく店が向かい側に見えた。
 どっちが本物なんだ?! 店の規模や造りはほぼ同じで、判断に困った。
俺「じゃー、仕方がない。もう一杯食おう」
 50年の懐かしさを慰めるためにラーメンを2杯続けて食うことにした。これで悔いはない。ゲップ―、大満足した。