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《ブラジル》コロナ禍CPIでハン氏召喚で大荒れ=威圧的態度で委員挑発=母の死因改ざん知ってた?=自社PR見せ委員怒らす

CPIでのハン氏(Edilson Rodrigues/Agencia Brasil)

 9月29日、上院のコロナ禍議会調査委員会(CPI)で、ボルソナロ大統領の熱心な支持者として知られる企業家のルシアノ・ハン氏が召喚され、証言を行った。ハン氏は終始、挑発的な態度で委員と激しく対立したが、疑惑となっていた同氏の母親の死がプレベンチ・セニオルによって改ざんされていた事実などを認めた。9月30日付現地紙が報じている。
 ハン氏の召喚は、同氏の母親であるレジーナ氏が今年2月、ヒドロキシクロロキンを含むKit―Covidの医薬品の不正治験の被験者とされ、サンパウロ市サンクタ・マジオーレ病院で亡くなった際、死亡記録を改ざんされた疑いが浮上したためだ。ハン氏が大統領支持派の人物として、これまで数々の疑惑に関与した経緯から、今回の召喚は治験死隠蔽の件以外でも注目されていた。
 ハン氏は委員会の会場に入るなり、無言のまま「俺に話させるな」「表現の自由」などと書いたカードを見せつけたりして、委員たちを威圧した。また、自身の経営するスーパー「アヴァン」の宣伝ビデオを見せるなどの行為を行い、委員たちを挑発し、怒らせた。
 証言の中で注目されたのは、レジーナ氏の件だった。ハン氏は最初、「母親がコロナで死んだことを病院側が隠蔽していたことはCPIを通して知った」と語っていたが、オマール・アジス委員長は、ハン氏の広報担当の女性がグローボニュース局と4月に交わしたメールの通話記録を見せた。

 ハン氏は以前、「母親はコロナで死んだ」と言っており、入院中の検査でコロナ感染が確認されたとも語っていたが、そのメールには、ハン氏自身の言葉として、レジーナ氏の死亡記録から「コロナ感染」が省かれていることを知っていたことや、その理由としてレジーナ氏の死因は基礎疾患の悪化とバクテリア性の炎症で、コロナは治っていたためであると説明していたことが記されていた。
 ハン氏は、「取材に応じた女性のことは知らない」と言いながらも、「確かにコロナのことは書かれていなかった」「最初の死亡証明には書かれていたが、病院側が翌日、当直医の間違いだったとして修正した」「母が入院した際、コロナ感染でと報じていたではないか」と反論した。
 だが、ハン氏はレジーナ氏が「(入院前から)クロロキンやイベルメクチンなどの処方を受けていた」と語り、以前、「Kitの医薬品が処方されていれば助かったのに」という表現で、これらの医薬品の処方を否定していたこととの矛盾も呈した。
 ハン氏は「自分はネガシオニスタ(否定論者)ではない」とし、自身がメンバーのひとりと目されている「影の委員会」の存在を「知らない」と言い切った。
 また、ハン氏はフェイクニュース拡散でも疑いが持たれており、この日も、ボルソナロ大統領三男エドゥアルド下議が極右ジャーナリストのアラン・ドス・サントス氏に、「ハン氏から協賛金がもらえそうだ」と話した記録を委員から見せられた。だが「Kit―Covidのためには資金を提供したが、フェイクニュースは支援していない」と頑なに否定した。
 このほか、長年にわたる社会経済開発銀行(BNDES)からの疑惑の融資の存在も、ハン氏は否定している。
 ハン氏は終始、委員らに対し不遜な態度をとり続け、オマール・アジス委員長から「威厳は金では買えない」などと厳しく批判された。ハン氏の担当弁護士べノ・ブランドン氏もアジス委員長から退場を命じられる一幕もあった。
 ハン氏擁護のために会場に帯同していた大統領長男フラヴィオ上議が、委員たちと口論する姿も見られた。