「ついにブラジルサッカー界もビッグ・クラブの時代になったか」。29日にリベルタドーレス杯の決勝進出チームがパルメイラスとフラメンゴになったことでそう確信した。パルメイラスは昨年、フラメンゴ一昨年の同杯で優勝して南米一になっている。
それだけではない。この2チームに加え、今回の準決勝でパルメイラスに惜敗したアトレチコ・ミネイロは、ブラジル内はおろか、南米レベルでもダントツの強さを示しているため、「ついに3強時代に突入か」と思わせる展開だ。
全国選手権では現在、ミネイロが首位でパルメイラスが2位でフラメンゴが4位。いずれも次年度のリ杯で予選を免除してグループ・リーグから参加できる「G4(最強4チーム)」圏内に入っている。さらにブラジル杯でも現在、準決勝進出の4チームにフラメンゴとミネイロが含まれている。こうした例からもわかるように、この3チームの強さが圧倒的だ。
こうしたことは、これまででは珍しいことだった。ブラジルサッカー界の場合、強いチームを作っても選手が欧州強豪などにすぐに引き抜かれて戦力が安定しなかった。それに加えて、これまで強いチームはサンパウロ州4、リオ4、ベロ・オリゾンテ2、ポルト・アレグレ2チームの「12強」と呼ばれる伝統クラブに戦力ができるだけ均等に分配されるように配慮されていた。
だが現在はこのように3強が頭一つ抜けてリードしており、逆にクルゼイロ、ボタフォゴ、ヴァスコ・ダ・ガマの3チームが2部落ち。12強体制は完全に崩れている。ブラジルでもイングランドやスペインのリーグ同様、資金繰りが十分なチームが独占する状態が生まれている。
なぜ、このようなことになったか。ひとつは選手たちのあいだでブラジルリーグの価値が上がっていることがあげられる。数年前まで、出世が遅く欧州行きが遅れた国内のスター選手は、スポンサー企業が巨額な資金を保有している中国リーグ、あるいは王族がチームを持つ中東のリーグに行くのがひとつのステータスだった。
だが、これらのリーグを経験した選手が習慣やリーグのレベルの違いを経験し、行くのを嫌がるようになった。このため伯国に残ってプレーすることを望み始めたのだ。
その結果、これらの選手を引き止められる資金のあるチームが強くなった。チーム別に見るとフラメンゴがスター選手の引き止めと欧州からの大物補強、パルメイラスが国内有望選手の移籍での集め方、ミネイロが他の南米国代表選手との契約のうまさが目立っている。
最近では中東帰りのエーヴェルトン・リベイロ(フラメンゴ)や欧州移籍がうまくいかなかったギリェルメ・アラナ(ミネイロ)など、帰国後に蘇生しセレソン選出のレベルにまで復活する例も出るなど、選手にも良い影響が出始めている。
このまま、しばらくこの3強時代が続くのか。ほかのクラブが一矢報いるのかにも注目したいところだ。(陽)