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《ブラジル》左派主導でも反大統領デモ盛り上がらず=ルーラ不在、焦点定まらず

2日のデモの様子(Paulo Pinto/Fotos Publicas)

 2日、全国でボルソナロ大統領に対する抗議活動が行われた。労働者党(PT)など左派によるデモで、開催規模も大きくはあったが、ルーラ元大統領は不参加で、サンパウロ市パウリスタ大通りでの集まりも大きくなかった。3日付現地紙などが報じている。
 今回のデモは26州と連邦直轄区の各州都をはじめ、全国94市で行われた。今回は、不発に終わった9月12日の保守派による反大統領デモに対し、同デモに参加しなかった左派が主導したものだった。
 今回のデモでは、左派のみならず、中道、中道右派、右派の不満分子など、20政党に及ぶ政治家の参加も見られた。目立つところでは、2018年の大統領選次点のフェルナンド・ハダジ氏(PT)や、来年のサンパウロ州知事選への出馬が有力視されるギリェルメ・ボウロス氏(社会主義自由党・PSOL)の姿も見られた。

 だが、集まり具合は今ひとつで、最大の会場となったサンパウロ市パウリスタ大通りでも8千人と、9月12日のデモをわずかに上回っただけだった。9月7日の独立記念日に行われた大統領支持派のデモが12万5千人集めたのに比べるとかなり少なかった。
 今回のデモには、大統領選の世論調査での支持率1位のルーラ元大統領が現れなかったことや、左派大統領候補でありながら反ルーラを叫ぶシロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)がパウリスタ大通りに姿を現してヤジが飛んだり、期待された左派以外の人たちの参加が少ないなど、足並みが揃っていないことが指摘された。
 同じ左派による反大統領デモでも、4月や5月に行われたデモの際に見られたコロナ禍による死者急増のような状況がなく、大統領支持者に呼びかけた9月7日のデモの直後に大統領自身が反最高裁的な態度を改めたこと、下院で大統領罷免請求を受け付ける様子がないことなど、デモのための強い動機に欠けていることも盛り上がらない原因では報道されている。
 ボルソナロ大統領は2日、今回のデモで自身をかたどった人形が焼かれる行動をSNSで紹介し、「平和にデモはできないものか」と皮肉った。