上院のコロナ禍議会調査委員会(CPI)で報告官をつとめるレナン・カリェイロス上議(民主運動・MDB)は、CPIの報告結果として、ボルソナロ大統領の起訴を請求する意向を固めていることがわかった。5日付現地サイトが報じている。
これは5日、レナン上議がこの日のCPIのために上院に到着した際、取材陣に対して行った発言で明らかになった。
それによると、レナン上議はコロナ禍CPIの最終報告に関し、「捜査そのものや報告書の内容などについて詳しく語ることはできないが」と前置きした上で、「コロナ対策その他で犯したことに関して、間違いなく、大統領の起訴を請求することになると思う」と語った。
詳細な言及を避けたレナン氏だが、同氏は数週間前、ボルソナロ大統領に関して、「まだ治験も終わっていないコバクシンをプレシーザと契約させるために、ファイザーやアストラゼネカなどのコロナワクチンの信用性を貶める発言を行い続けた」として批判していた。
同上議はさらに、起訴の対象となりそうな人物として、「『影の委員会』や『憎悪部隊(ガビネッテ・ド・オジオ)』、公金を横流ししたり横領したりしたと思われる人たちすべてだ」と語った。
また、適用されうる罪状についても、「一般的な犯罪、責任法違反、生命に対する犯罪、人道に対する犯罪などで、先住民との関係でジェノサイドの使用も検討している」と語っている。
オマール・アジス委員長もCNNブラジルに対して、同様のことを語っている。同委員長はボルソナロ大統領に加え、エドゥアルド・パズエロ前保健相が起訴請求の対象となることを確実視している。このほか、現在、合計で32人がリストアップされているといい、「少なくとも30人は起訴請求されるのでは」との見方を示している。
レナン上議は15日までにCPIの報告書をまとめ上げ、各委員と個別に語った後、CPIに正式に提出する予定だ。提出は、連邦議会が19日に予定している、コロナウイルスで亡くなった人々への追悼イベントの際となる見込みで、予定通りに行けば、翌20日に報告書を承認するための投票が行われる。
報告書が承認されれば、連邦検察庁に回され、それを基に検察庁が最高裁に起訴を行うか否かを決めることになる。また、連邦会計検査院(TCU)や、連邦直轄区やサンパウロ州などの検察局、サンパウロ州とサンパウロ市のCPIなどにも報告書の情報が回される予定だ。
同CPIは4月にはじまり、当初は1月のアマゾナス州マナウスでの医療崩壊が焦点となっていたが、6月にはルイス・ミランダ下議が告発した保健省によるコバクシン不正契約疑惑、同時期に起こった保健省の賄賂請求疑惑、9月にはサンパウロ州の大手保険会社「プレベンチ・セニオル」による、ヒドロキシクロロキンなどの早期治療キットの医薬品の不正治験や死亡記録改ざん疑惑、さらには、これに伴う「影の委員会」の関与疑惑など、疑惑の内容や対象者が多岐にわたっている。