ボルソナロ大統領がミナス・ジェライス州を訪問した際、軍警の制服を着て玩具のライフル銃を持った子供を壇上に同席させ、人権活動家らから子供を政治的に利用したと批判された件で、国連の子どもの権利委員会が「子供を政治的な道具として使った不適切な行為で、国際条約にも違反している」として大統領を処罰するように求める声明を出したと5日付G1サイトなどが報じた。
問題の行為は9月30日にベロ・オリゾンテ市で起きたもので、軍警の制服を着、玩具のライフル銃を持った6歳男児を壇上に上がらせ、挨拶して一緒に座らせたり、肩車にしたりした上、子供の銃を借りてポーズを取るなどした様子はイベントを取材していたメディアでも報じられた。
ボルソナロ氏は、この少年は「市民性、愛国心、尊敬の例だ」とし、少年の両親に(敬意を込めて)「挨拶」すると述べた。また、「自分も子供の頃、銃や弓矢、パチンコで遊んだし、自分達の世代はこのようにして育った」とも語った。
6歳の少年は大統領や同席していた政治家らに挨拶した後、壇上で一緒に座り、写真やビデオに納まった上、腕立て伏せなどもして見せた。
この日のミナス州訪問は、連邦議会が承認した同州州都での地下鉄工事に関する法案裁可と、国立ワクチンセンター建設のための礎石敷設のためのものだったが、ボルソナロ氏は大統領選の公約に銃の所有拡大などを掲げており、銃所有のための基準緩和のための大統領令なども出している。
だが、銃器と混同される可能性のある玩具やレプリカなどの製造や販売、輸入は軍縮法によって禁止されている。
にも関わらず、制服を着、玩具を持参した子供を公の場で壇上に上げ、政治的な行為に利用したとして、約80人の人権活動家やメディアなどが3日、違法かつ子供の人権を侵害する行為だとして国連に訴えていた。人権活動家らは、ベロ・オリゾンテ市の児童相談所にも同様の内容の手紙を送付している。
子どもの権利委員会は5日、「敵対行為への子供の参加は子供の権利条約により明確に禁止されている。敵対行為への子供の参加には、紛争に関連する活動や実際のまたはシミュレートされた敵対行為に参加している画像の作成と配布に子供を使用する事が含まれる」とする声明を出した。
また、ブラジルは武力紛争への子供の関与に関する国連条約の締約国であり、子供が敵対行為や紛争に関連する活動に参加しないようにする義務がある事や、ボルソナロ大統領の場合のように、子供の権利を明らかに侵害している人達に責任を負わせるよう、管轄機関に強く呼びかける意向である事も述べている。
人権活動家らは大統領が「子供を使って武器政策を刺激する」のは人権侵害にあたると主張。また、連邦憲法第227条や児童青年法(ECA)第4条、子供の権利に関する条約の第3条と第16条に触れる違反があると述べている。
ボルソナロ氏はマスク不着用などで子供を含む民衆を新型コロナ感染の危機にもさらしている。