ボルソナロ大統領派の極右サイト「テルサ・リーヴリ」主宰のジャーナリスト、アラン・ドス・サントス氏が最高裁のリカルド・レヴァンドウスキー判事の職員を内通者として使っていた疑惑が浮上した。6日付現地サイトが報じている。
これは6日午前、フォーリャ紙サイトの独占スクープで明らかになったものだ。同紙によると、連邦警察から得た情報で明らかになったものだという。
アラン氏は2020年3月に、最高裁管轄の「フェイクニュース捜査」で、虚報拡散ならびに「反連邦議会・反最高裁」の反民主主義デモに対して資金提供を行った疑惑で捜査対象となった。現在も、改称後の「デジタル・ミリシア(ネット犯罪者)捜査」の対象となっている。今回の情報は、連邦警察が押収したアラン氏の携帯電話の記録から浮上したものだ。
それによると、アラン氏はレヴァンドウスキー氏付きのインターン(実習生)だったタチアナ・ガルシア・ブレッサン氏を内通者として使っていた形跡があるという。タチアナ氏は2017年7月19日から2019年1月20日までインターンとして働いていたが、アラン氏とのやりとりは、18年10月23日から20年3月31日まで続いていた。
2人が交信をはじめたきっかけは、タチアナ氏がアラン氏に対し、「ビア・キシス下議の職員になりたい」と連絡をとったことだった。タチアナ氏が最高裁で働いていると知ったアラン氏は、「僕たちの内通者にならないか」と誘い、それにタチアナ氏は「喜んで」と答えている。
前記の期間中のやりとりで、もっとも目立ったタチアナ氏の内通行為と見られかねないものは、同氏が「最高裁の決定は判事の都合で決まる」とした会話だ。その例として同氏は、2018年10月にレヴァンドウスキー氏が服役中だったルーラ元大統領に対して雑誌の取材を許可した際、ルイス・フクス(当時)判事が差し止めたことをあげた。
タチアナ氏はこれを「エドゥアルド・ヴィラス・ボアス(当時)陸軍司令官が最高裁に影響力を持っていた」「ヴィラス・ボアス氏はジアス・トフォリ(当時)長官の職員に腹心の将官を送り込んでいた」とし、「トフォリ長官が1964年3月31日の軍事クーデターを軍事的事件といい直したことがあったが、それも、軍人を抱え込んでいたことが理由だ」などと話している。
タチアナ氏はまた、「レヴァンドウスキー氏がルーラ氏を釈放することになる」と、結果的に当たらなかった推測まで話していた。
タチアナ氏はフォーリャ紙の取材に対し、内通者を務めた疑惑を否定し、アラン氏との関係を「2人とも(極右思想家の)オラーヴォ・デ・カルヴァーリョ氏の弟子というだけだ」と主張している。
なお、タチアナ氏は離職後の19年11月にネット上でジウマール・メンデス判事の罷免を求めた。また、今年の9月7日には、「本当の独裁者は最高裁の中にいる」などの投稿を行っており、その数日前には、「司法上のことはわからないくせに、医学や経済、ワクチン接種、選挙などにも通じた世界で唯一の法廷」との言葉で最高裁を揶揄している。
アラン氏は上院のコロナ禍の議会調査委員会(CPI)の最終召喚者に予定されている。同氏は、コロナ禍に関しても虚報のニュースや誤解を招くような出版物を作成してネットワーク上に投稿しており、他の人たちが大量に拡散できるようにして、コロナ禍を悪化させたとの嫌疑などで告発対象の一人となるとみられている。
Kit―Covidに含まれる医薬品の不法治験などで告発される見込みの大手保険会社プレベンチ・セニオルは、ワッツアップのグループで同氏に情報を流し、虚報ニュース作成などを促していたと見られている。