在サンパウロ台北経済文化事務所(馮光中所長(総領事)が主催する「中華民国国慶日110年」の記念祝賀会が、10月5日午後2時半からサンパウロ市内のレストランで開催された。9月に聖州が新型コロナ感染防止に対する規制を緩和したことを受け、台湾コミュニティにとっても久しぶりの華やかな対面イベントとなり、120人以上が参加した。馮光中所長に続くあいさつでは、招待された日系コミュニティを代表する来賓たちが次々と登壇し、祝辞を述べた。
「中華民国国慶日」は中華民国台湾の国家記念日で、中国大陸で清朝に反旗をひるがえす辛亥革命の引き金となった武昌蜂起が起きた1911年10月10日を記念し、台湾の祝日となっている。同日の2カ月後、中国各地で革命運動が続発して清朝が崩壊し、アジア初の共和制国家である中華民国が成立し、今年で110年を迎えた。
ブラジルと台湾の国歌が流れた後、今の台湾から世界へ送る様々なメッセージが映像で伝えられた。最初に「台湾から日本に伝えたい『ありがとう』」という画面が表れ、最近では新型コロナウイルスのワクチンが日本から台湾に寄付されたことや、ブラジルでも良好な日台関係が築かれていることへの感謝の意が表された。
馮光中所長は、「この2年間は全世界がパンデミックの影響を受けてきましたが、台湾は新型コロナウイルスに対する様々なコントロールを行い、成功してきました。ブラジルの台湾コミュニティも同様で、パンデミックの困難な状況の中でも、グループや個人でセスタバジカや衛生キットなどの寄付に積極的に取り組んできました。台湾は基幹電子部品や情報分野で高い技術があり、そのような分野でもブラジルに貢献し、台湾とブラジルがより明確な関係を築いていくことを願っています」とよりブラジルとのきずなを深めていきたいと明示した。
続いて、サンパウロ市議の野村アウレリオ氏、元サンベルナルド・ド・カンポ市議で同市経済開発局の南洋行氏、スザノ市長の芦内ロドリゴ氏、ジウ・ジニスサンパウロ州議があいさつした。
野村市議は「私の台湾との関係は、父が連邦下院議員だった時代に、経済視察団の一員として台湾を何度も訪れた時から始まります。以来、両国の貿易は促進され、友好関係が深まり、お互いの良い部分を取り入れてきました。パンデミックの中では、ブラジルの台湾コミュニティが様々な寄付を必要な人たちに行ってきたのを見てきました。サンパウロ市議会を代表し、この場を借りて感謝申し上げます」と述べた。
芦内ロドリゴ・スザノ市長は、市環境局に勤務する台湾移民の子孫であるアンドレ・シャンギ氏と列席し、「中華民国台湾の国家記念日は、台湾人だけでなく、世界にとっても重要な日です。私の町には台湾も含めて様々な移民が一緒に暮らしてきた歴史があります。台湾系の会社や食料などの工場もあり、スザノの発展に貢献してきました。パンデミックになってからは市民の健康や経済的な問題も出てきましたが、雇用問題の解決なども友情をベースにより良い世界を築いていくことを願っています。台湾はいつもスザノ市の友情を頼りにしてください」とあいさつした。
芦内氏は、スザノ市がバレーボールリーグの一員としても活躍していることを紹介し、馮所長に市民を代表して同市ユニフォームをプレゼントした。乾杯の後は、祝賀会のために用意された中華料理を食べながら歓談のひと時が過ごされた。
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今回で「アジア系コミュニティの今(5)台湾編」は終了となる。ブラジルにおける台湾移民は、常に日本移民と寄り添って生活し、それぞれの子孫が結婚している話題も珍しくない。
アジアでの日台関係と同様に、ブラジルの日系コミュニティと台湾系コミュニティは日常生活のレベルから友好関係にあり、台湾系コミュニティからは日系コミュニティとのコラボレーションには高い期待が寄せられている。今後もブラジルのあらゆる場面で、アジア勢として日台コラボでの躍進が期待されている。(大浦智子記者、終)