ブラジル西部のマット・グロッソ州とマット・グロッソ・ド・スル州からパラグアイ北部、ボリビア東部にかけて広がるパンタナルは、水に覆われた地域が多いが、今年は歴史的な少雨・干ばつで、水位が低下する引き潮(vazante)の期間が121年間で最長となる見込みだと7日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
パンタナルでは通常、4~9月が乾季、10月~翌年3月が雨季とされている。乾季の空は星がきらめき、10月から3月にかけては洪水のために散らばっていた動物達が平原に戻ってくる。
だが、今年は記録的な少雨・干ばつのため、引き潮が例年より早めに始まった。また、例年ならとっくに終わっている10月末まで続く見込みだという。ブラジル地質サービス(CRPM)によると、今年の引き潮は過去121年間で最長となるという。
また、今年はパラグアイ川の水位の低下が著しく、雨が降らない状態がこのまま続けば、1964年に記録したマイナス61センチを上回る新記録となる可能性があるという。CRPMによると、現時点での少雨は同地域では過去5番目の酷さで、降水量が平年を下回る状態は続くという。
一方、自然災害の監視と警告のための国立センター(CEMADEN)調査員のジオヴァニ・ドリフ氏によると、統合干ばつ指数(IIS)で見る限り、今月の降雨不足量は昨年同期よりも小さいという。また、予想を超える雨が降る可能性があると警告し、「雨季への移行は通常の範囲内で起こりうる」とも語った。
国立宇宙研究所(Inpe)の気象学者のカロリーネ・ヴィダル氏によると、今年の降水量は平年より少なく、2010年以降で最も乾燥した乾季になっているという。ヴィダル氏は、「降水量が平年以下のところでは気温が平年を上回る。現在の雨はブラジル北部に集中しているが、今後は中西部と南東部に移動するだろう」と見ている。