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《ブラジル》結婚式直前に新郎が事故=強盗に前夫殺された新婦絶望=応急措置した男性は無理やり会場へ

軍警仲間に囲まれて撮った記念写真。左が骨折した新郎(https://www.instagram.com/p/CU99_1pLy1m/)

 ブラジル北東部トカンチンス州アラグアイーナで10日、結婚式直前の男性が交通事故に遭い、骨折したが、応急措置を受けた後、車椅子で式に臨んでから病院にトンボ返りする事態が起きたと13日付G1、コレイオ・ド・ポーボなど多数のサイトが報じた。
 式の前に髪の毛を切ろうと考え、新婦が待つ美容室にバイクで向かった軍警のシルヴィオ・アンデルソン・ダ・シルヴァ・ヴァンデルレイ氏が、車に撥ねられたのは10日の午前中だった。
 新婦のアナ・パウラ氏はこの時、事故現場から1区画しか離れていない美容室におり、新郎が血まみれになって倒れている姿を目撃。「結婚式の日に、再び大切な人を失うの?」と絶望的な気持ちになったという。
 アナ氏はこれまでも、父親や最初の夫を見送る経験をしてきた。最初の夫は2016年に強盗に襲われ、命を落とした。それ以来、ずっと心を閉ざしていたアナ氏が初めて心を開いたのがシルヴィオ氏だったのに、その人が結婚当日に血まみれになっているのを見たアナ氏は、手足の震えが止まらなくなった。
 アナ氏は悪夢を振り払おうと自らの顔を叩いたが、逆にショック状態に陥り、体が動かなくなったため、救急診療所に運ばれた。

車椅子の上から愛を告白するシルヴィオ氏と、それに聞き入るアナ氏(Divulgação/Messias Ribeiro)

 一方、シルヴィオ氏は救急車で救急病院に運ばれたが、意識はしっかりしており、救急隊員にも「今日、結婚式なんだ」「どうしても今日、結婚するんだ」と言い続けていたという。
 結局、10日の午後4時からの予定だった結婚式は定刻より遅れ、装飾も一旦片付けられたが、傷口を洗浄し、応急措置的な手術を受けた新郎が車椅子で駆けつける事になり、再び会場を整備。診療所で治療を受けた後も1日中泣いていたという新婦も笑顔で現れ、無事に愛を誓い合った。
 「私への愛と集まった全ての人への敬意を完璧な形で表してくれたの。彼はスーパー・ヒーローに見えたわ」「骨折し、薬のせいで思うように動く事さえ出来なかったけど、式に来てくれた人達は皆、感動して涙を流していたわ」というアナ氏の言葉は、式場にいた参列者全員の思いを代弁している。
 シルヴィオ氏は12日もアラグアイーナ市の私立病院に入院中で、断層撮影などの検査を受けた上で、新たな治療プロセスが始まるのを待っている。同氏の病状は安定しているという。
 シルヴィオ氏の真実な思いと愛を受け止めた後のアナ氏は、「事故の瞬間はショックで凍ってしまったけど、今は感謝の思いが高まっている」と語っている。

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