【既報関連】上院憲政委員会のダヴィ・アルコルンブレ委員長が知人に対し、ボルソナロ大統領が指名した最高裁判事候補のアンドレ・メンドンサ氏に関し、「2023年まで口頭試問(サバチーナ)にかけるつもりはない」と語っていたことがわかった。つまり、ボルソナロ大統領の現在の任期中には行う意思がないことを意味する。13日付現地紙が報じている。
このことは、12日にCNNブラジルが報じて明らかになった。それによると、アルコルンブレ上議に対してサバチーナ開催を強要するよう求めた訴えを、最高裁のリカルド・レヴァンドウスキー判事が11日に却下したのを受け、メンドンサ氏のサバチーナを行うつもりがないことを知人に明かしたという。アルコルンブレ氏は、大統領が7月に行った指名から3カ月経ってもメンドンサ氏のサバチーナを放置するという異例の状況を続けている。
そこでアルコルンブレ氏は知人に、「大統領は米国かぶれだ。ならばこちらも米国流でいくとするか」と語っていたという。米国では2016年に当時のオバマ大統領が最高裁判事候補としてメリック・ガーランド氏を指名したが、上院の多数派だった共和党がサバチーナを行おうとせず、293日間審議を放置した結果、議会が閉会した2017年1月3日に失効した例に倣おうとしているという。同国ではこの直後にドナルド・トランプ氏が大統領に就任し、1月31日にニール・ゴーサッチ氏を指名。ゴーサッチ氏は同年4月に最高裁判事に就任した。
ボルソナロ氏の任期は2022年12月31日までなので、その日までにサバチーナが行われないと、同氏による2人目の最高裁判事は生まれないことになる。
この報道が行われた後も、ボルソナロ大統領はメンドンサ氏の指名を取り下げず、同氏のサバチーナを待ち続ける意思を表明している。大統領は福音派リーダーたちに福音派判事を成立させる約束をしており、後に引けなくなっている。
こういう状況を憂慮し、大統領の側近たちは3人の別候補を勧め始めているという。そのうちの2人は連邦会計検査院(TCU)判事で、一人がジョルジェ・オリヴェイラ氏、もうひとりがブルーノ・ダンタス氏だという。
オリヴェイラ氏は大統領のお気に入りの人物で、大統領府に籍を置いていた時代もある。昨年、カシオ・マルケス判事が指名された際も、判事候補に名前が挙がっていた人物だ。ダンタス氏は最高裁判事や政府派の上議たちからも受けが良いが、上院のコロナ禍議会調査委員会(CPI)報告官で、大統領と対立しているレナン・カリェイロス上議と親密な間柄であることが懸念されている。
また、元サンパウロ州地裁長官のイヴァン・サルトリ氏も、かつて最高裁判事候補となったことがある上、大統領の息子たちと懇意であることから、候補の一人として名前が挙がっている。
他方、ボルソナロ氏が入党交渉を行っている進歩党(PP)党首のシロ・ノゲイラ党首は、経済防衛行政審議会(Cade)議長をつとめるアレッシャンドレ・コルデイロ・デ・マセド氏の最高裁判事指名を裏で画策しているとされ、福音派の大物牧師シラス・マラファイア氏から批判されている。