【既報関連】13日にサンパウロ州のジョアン・ドリア知事が18日から対面授業義務化と発表した事を受け、様々な反応が出ていると13、14日付現地サイトが報じた。
対面授業義務化は州保健局の判断を基にしたもの。だが教職員組合は即座に、100%の対面授業実施は物理的に無理な学校や、清掃職員不足で衛生基準を守れない学校も多いとして反対した。
州教育局もそれを裏付けるように、1メートルという社会的な距離を保ちつつ100%の対面授業ができる州立校は5130校中1251校(24%)と発表した。
州政府は11月3日からは社会的な距離確保の義務を除く意向だが、それまでは100%の対面授業実施が不可能な学校が4分の3あり、当面は対面授業と遠隔授業のハイブリッド型授業を継続する必要がある。
教育審議会がある市では、審議会が市立校の対面授業義務化の時期を決める。サンパウロ市は州の方針に従う意向だが、リベイロン・プレット市は少なくとも今月中はハイブリッド型を続ける予定だ。
一方、国連教育科学文化機関(ユネスコ)は13日に州の方針支持を表明した。ユネスコは、コンピューターやタブレット、携帯電話などがなくて遠隔授業に参加できない生徒が相当数いる事や習熟度の低下などを理由に、全面的な対面授業の再開を擁護している。
コロナ禍で遠隔授業が始まり、習熟度や対人関係などの問題が生じている事は教育関係者の心配の種でもある。
だが以前、対面授業再開後に新型コロナに感染した生徒や教師が出た事や、感染者が出たために遠隔授業に戻った学校が相当数あった事は周知の事実で、死者が出た学校もあった。
マット・グロッソ・ド・スル州やエスピリトサント州も今月、対面授業を義務化したが、サンパウロ州では感染者が出た時の対応策が未発表な事も、現場を不安にさせている。専門家からは、明確な対応策の策定と校内改築を訴える声も出ている。
なお、遠隔授業が認められるのは、妊婦か出産直後の生徒、基礎疾患などがあるがワクチン接種未完了で12歳以上の生徒、新型コロナに感染したらリスクが高い疾患や障害などの健康面の問題がある12歳未満の生徒のみで、それ以外の場合は欠席扱いとなる。
だが、実際には、糖尿病を持つ祖母や気管支系疾患を持つ姉妹と共にサンパウロ市南部で暮らす高校3年のタイス・アイララさんのように、「自分がいくら気をつけても、46人の級友が皆、気をつけているとは限らない」「ウイルスを家に持ち込み、家族を危険にさらすより留年する方がいい」という人も出てきている。