選挙高裁は15日、ボルソナロ大統領とモウロン副大統領のシャッパ(連記式の名簿)の当選を無効にしかねない、2018年大統領選での虚報拡散の不正容疑に関する審理を行うことを認めた。選挙検察からは「拒否」を勧める見解があがっているが、今月中に審議が行われると見られている。15、16日付現地紙、サイトが報じている。
同件の原告は、2018年の大統領選の決選投票で敗れたフェルナンド・ハダジ氏の陣営である労働者党(PT)、ブラジル共産党(PCdoB)、社会秩序共和党(PROS)の連合「オ・ポヴォ・フェリース・デ・ノヴォ」だ。
原告側は、ボルソナロ陣営には、「デジタル・マーケティングの専門企業を雇い、携帯電話を使ってワッツアップ内で大量のフェイクニュースを拡散した」「携帯電話のチップを獲得するために、高齢者の納税者番号(CPF)を不正使用し、偽名登録を行った」「ボット(自動拡散プログラム)を使って、フェイクニュースを大量に拡散した」などの疑惑があるとしている。
これに対し、選挙検察副長官のパウロ・ゴネ・ブランコ氏は14日、「訴状受付の拒否」と、最高裁が集めた証拠を採用しないことを勧める見解を表明した。
ブランコ氏によると、最高裁が「フェイクニュース捜査」「反民主主義捜査」の二つの捜査で集めた「デジタル・ミリシア(ネット犯罪者)」たちが行ったフェイクニュース拡散の証拠は、「18年の大統領選と直接の関連性がない」という。
ブランコ氏は、選挙での不正を判断するのに不可欠な、対抗馬である候補に関するメッセージの内容と数のマッピングをすることや、選挙時に雇った企業が重大な罪を犯したと認めることができるような違法性を証明することもできなかったという。
さらに、ボルソナロ大統領の支持者でフェイクニュース拡散者と目されているジャーナリストのアラン・ドス・サントス氏や企業家のルシアノ・ハン氏が「大統領選で同様のことを行ったとする証拠がない」との見解を示した。
だが、選挙高裁のルイス・フェリペ・サロモン判事は15日、正副大統領のシャッパに関する、当選無効を訴える訴状2件に関する審理開始を認め、報告書を選挙検察に送った。選挙検察はこの報告書を基に、48時間以内に正式な意見書を提出する必要がある。
同件の審理の日程はルイス・ロベルト・バローゾ長官が決めるが、選挙検察の意見書に同意するか否かも含めた全体審理は今月中に行われると見られている。