サンパウロ市南部パライゾポリスで16日午後、2階建ての家屋が倒壊。隣接していた家屋8軒中6軒も倒壊家屋の直撃を受けて損壊し、1人死亡、4人が負傷と16、17日付現地紙、サイトが報じた。
事故が起きたのは午後3時45分頃、消防車両14台と警察犬1匹が派遣され、消防隊員54人が救出作業を行った。
消防隊によると、家屋倒壊に巻き込まれたのは5人で、最初の2人は消防隊が到着する前に住民達の助けで脱出したが、残りの2人は消防隊が救出。最後の1人は夜9時頃、遺体となって回収された。
消防隊が救出したのは48歳と49歳の男性で、49歳男性は軽傷だったため、救急診療所で手当てを受けるだけで済んだが、48歳の男性は足を骨折していたという。死亡したのは55歳の男性だが、名前は明らかにされていない。
消防は作業の途中で、上空から取材をしていたヘリコプターに騒音を避けるよう依頼。その直後に携帯電話が鳴る音が聞こえ、救出作業が進められたという。
パライゾポリスはサンパウロ市で2番目、ブラジルで5番目に大きなスラムで、9月に100周年を迎えた。同地区には5階建ての不法建築などもあるし、老朽化した家屋も多い。倒壊家屋があったアントニコと呼ばれる小川の周辺は以前から危険地域とされていたが、移転措置が採られていなかった。
サンパウロ市のリカルド・ヌネス市長は17日に現場を訪れ、住民やリーダーと今後の対策を協議した。住民は昨年4月に始まった市街化計画推進を改めて要請。アントニコ川の整備も計画の一部だったが、具体的な移転計画や工事開始の日程などが決まらないまま、今回の事故が起きたという。