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コロナ禍でも生きる「ピンチはチャンス」

大半の企業がコロナ禍の中で改革に取り組んだと報じる19日付アジェンシア・ブラジルの記事の一部

大半の企業がコロナ禍の中で改革に取り組んだと報じる19日付アジェンシア・ブラジルの記事の一部

 昨年来のコロナ禍により、失業や雇用形態の変化、所得減少、近しい人の死、コロナ感染症その他の疾患を含む肉体的・精神的なストレス増加などを経験している人は多い。
 今年はこれに少雨、降霜などの自然災害や燃料費高騰によるインフレ高進などの経済的な圧力も加わり、困窮する人や企業も増えた。
 だが、19日の全国工業連合(CNI)の発表によると、国内の企業の多くはコロナ禍の中で、競争力を保ち、生産性を向上させるような工夫や投資を行い、肯定的な結果を得たという。
 中~大規模企業500社に対して行った聞き取り調査によると、コロナ禍で生じた危機の解決策を模索するために何らかの改革を進めた企業は88%に及んだという。
 また、80%は改革によって生産性や競争力、収益性の三つが向上しており、二つが向上したという5%、一つが向上という2%を含めると、全体の87%、改革を行った企業では99%が肯定的な結果を得ている。改革でどれかが悪化した企業は皆無だという。
 調査では、51%は改革のための特定の部門を持っておらず、63%は改革のための予算を持っていなかった事、65%は改革に専念する専門家さえいなかった事も判明したという。これはコロナ禍が変革を要請した事を示す。改革が行われた部門は生産、販売、経営、運輸、人事など多岐にわたり、デジタル化が成功した企業もあった。
 コロナ禍で損失を被った企業は79%。最も打撃を受けたのが供給部門だったのは58%、販売部門は40%、生産ラインは23%だったという。他方、20%はコロナ禍の影響は皆無か僅かで、55%はコロナ禍で売上が伸びたという。
 この調査は零細・小企業を含んでいないが、コロナ禍で失業後、起業して成功している人の例なども報じられている。
 もちろん、様々な事情でダメージから立ち上がる事や、新しい一歩を踏み出す事すらできない人も多いだろう。だが、この調査は工業界では「ピンチはチャンス」との言葉が生きている事も示した。
 とはいえ、コロナ禍で両親を亡くした子供だけでも数万人いる。この社会的ダメージから回復するには10年前後かかるという学者もいる。
 「ピンチはチャンス」にできない人も視野に入れて、政府にはセーフティネット(予想される危険や損害の発生に備えて、被害の回避や最小限化を図る目的で準備される制度)の充実、しっかりとしたポストコロナ復興計画を立ててほしい。同時に民間は民間で、できる努力をしていきたいものだ。(み)