サンパウロ市パウリスタ大通りに位置する、1935年落成の歴史的建造物「カーザ・ダス・ローザス」(薔薇屋敷)の改修工事が18日から始まった。
12日付アジェンシア・ブラジルなどによると、当時の建築様式を色濃く残す建物の管理者はサンパウロ州創造的な文化と経済局だ。詩作や翻訳で知られるサンパウロ市生まれの文芸評論家でこの建物の所有者だったアロルド・デ・カンポス(1929~2003)に敬意を表し、「アロルド・デ・カンポスの詩と文学の空間」とも呼ばれている。
改修や修復のための工事は当時の建築様式を残しつつ行われ、電気系統や油圧システムの更新、障害がある人も使いやすくするためのアクセシビリティ拡大、文化・教育活動への参加者や訪問者を受け入れるためのスペースの改善を含む。
カーザ・ダス・ローザスは文化遺産に指定されているため、改修・修復工事には、サンパウロ州歴史・文化・考古学・工芸遺産・観光保護審議会(Condephaat)の承認が必要だった。工事は18日から始まり、2年間をかけて行われる。
工事の予算は420万レアルで、80%は法務省の拡散権防衛基金から払われる。同基金は裁判所から有罪判決を受けて支払われたお金や罰金からなり、歴史的、芸術的な遺産、環境や消費者、集団的利益の損害を回復するためのプロジェクトに用いられる。残りの20%はサンパウロ州政府が拠出する。
カーザ・ダス・ローザスの所蔵物は、同館の管理を担当する社会組織のPoisisの本部に移管される。同館の所蔵物には、アロルド・デ・カンポスの作品集などの書誌コレクションが含まれている。カンポスの作品の研究者達は、事前予約さえ入れれば改修中も作品閲覧が可能だ。
他方、カーザ・ダス・ローザスでの文化・教育活動はオンラインで継続される。同館の庭では、展示や見本市、リサイタル、本出版記念会の対面イベントの開催が継続される。
それ以外の文化・教育活動は、カーザ・ダス・ローザスと共にサンパウロ文学博物館を構成するカーザ・ギリェルメ・デ・アルメイダ、カーザ・マリオ・デ・アンドラーデで開催される。
カーザ・ダス・ローザスの庭では20日から12月末まで、「希望の住むところ」と題した「世界の家」に関する写真展を開催中だ。ハビタット・フォー・ヒューマニティ・インターナショナルのコレクションから選ばれた世界中の家の写真80点と、ペルナンブコ州の農村やサンパウロ市のコミュニティで撮った写真が展示されている。
この写真展では、様々な種族の伝統、異なった居住形態、「家」という言葉が示すものの違いなどを通して、文化の多様性を実感する事を目的としているという。