スーパーなどの商品棚に置かれた牛肉の価格は相変わらず高騰しているが、中国へのブラジル産牛肉の輸出が1カ月以上止まっており、農村部では牛肉が値下がりしていると19、21日付G1サイトなどが報じた。
中国によるブラジル産牛肉の買い控えは、ミナス・ジェライス州やマット・グロッソ州で狂牛病の疑いがある事例が報告された事が原因だ。
国際獣疫事務局(OIE)は、これらの事例はブラジルの牛生産チェーンのリスクにはつながらないと判断したが、ブラジル政府は中国の衛生基準に従い、9月4日に同国への牛肉の輸出を停止した。輸出停止は22日で48日間に及んでいる。
中国はブラジル最大の牛肉の輸出相手国で、同国向けの輸出が止まった事で、10月第3週までの牛肉の輸出量は1営業日あたり4500トンに止まっている。昨年10月は8100トン/日、今年9月は8900トン/日だったから、中国への輸出停止の影響の大きさがわかる。
サンパウロ総合大学の先端的応用経済研究センター(Cepea)によると、18日の生肉価格は267・8レアルで、12月30日以来、最低となった。6月28日は322レアルに達していたから、16・8%値下がりしている。
だが、この動きはそのまま、スーパーでの商品価格に反映される訳ではない。2020年1月から2021年8月にかけての生肉価格は60%上昇していた。だがスーパーなどでは40%の値上がりに止まっていたため、中間業者がこれを機会にマージンを取り戻そうとしている可能性がある。
市場関係者によると、中国への輸出停止は最悪の状況の中で起きたという。9~10月に屠殺される牛は飼育費が高くつく肥育場の牛だからだ。肥育場の牛は、屠殺が延長されれば経費がそれだけかさむ事になる。
農務省はOIEの判断後も中国側が輸出再開にゴーサインを出すのを待ち続けているが、一部の関係者は、狂牛病の疑いが出た後も商品が送られてきた事を中国側が快く思っていないために輸出再開が認められないのではないかと見ている。
ただ、輸出された肉は9月3日以前に認証されたもので、衛生基準から見て何も問題がない。食肉加工業者らは、世界的なコンテナ不足のため、やっと手配できたとコンテナに商品を積み込んで送ったが、外交ルートを通じた連絡が不充分だった可能性があるという。
中国がいつから輸入を再開するかがわからず、19日には農務省が中国向けの肉の生産停止を指示したが、同国への輸出に回せなくなった肉が国内市場に流れている事もあり、卸売市場でも値下がりが起き始めている。
だが、庶民が手にする肉の価格が下がるかや、その場合はいつ、どの位下がるかは誰にも予想できていない。