ブラジル初の新型コロナ感染者確認から604日の21日、ブタンタン研究所がブラジルで確認されたウイルスの遺伝子配列を解析した結果を発表したと21、22日付現地サイトが報じた。
新型コロナウイルスの遺伝子研究は20年2月~今年6月に全国から集められたサンプルで行われ、3866の遺伝子配列が解析された。100人を超す研究者達は、どの型のウイルスがいつ頃から広がり始め、どの型のウイルスを国外に広げたかを解析した。
それによると、ブラジルのコロナ禍は欧州から入ってきたウイルスを中心に広まっており、社会隔離などが始まった20年4月前に持ち込まれたウイルスの型(遺伝子配列)は114あったという。
ブラジルで蔓延している新型コロナウイルスは中国から入ってきた型より欧州型の方が多い事や、国内で遺伝子配列が変わったブラジル型ウイルスは市内感染が確認される前から蔓延していた事は、国内での遺伝子解析が始まった頃に報じられた。
今回発表された研究報告はその事を再確認しており、20年8月の時点では少なくとも33の新たな型のウイルス流入も確認されたという。
これらの結果は、感染抑制措置が採られた時は水際作戦では感染抑制ができない時期に入っていた事、ウイルスは複数のルートから流入していた事、人が自由に移動できる状態では感染抑制は困難な事などを明らかにした。
飛まつ感染で引き起こされる感染症は感染抑制がより困難だが、他国ではもっと効果的な対策が採られていた事も明らかになったという。
国を挙げた効果的な感染抑制策が採られなかった事はブラジルが変異株発生地となった遠因で、マナウス市で発生したガンマ株(P1)は少なくとも316、リオ州で最初に見つかったゼータ株(P2)は少なくとも32の流出例が確認された。これから見ると、ブラジル産変異株の流出数は流入数を上回っている。
変異株は感染拡大傾向が強く、複数の型が蔓延しているほど発生しやすい。ガンマ株は20年11月21日頃に発生していた事や、リオ州で見つかったゼータ株が20年8月にパラナ州で発生していた事も判明した。
ブタンタン研究所研究員のマリア・カロリーナ氏は、遺伝子解析は、ウイルスがどんな形で拡散し、どんな形で変異したかを確認し、感染抑制策を策定する助けとなるとし、「研究者の役割はパンデミック終息に向けた適切な判断を行うための情報提供」と結んだ。
ブタンタン研究所の研究結果はMedRxivという名のプラットホームで公開されている。
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