21日、最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事が、「民主主義への威嚇」などを理由にボルソナロ大統領支持者の極右ブロガー、アラン・ドス・サントス氏の逮捕を命じた。同氏は国際指名手配の扱いも受けている。22日付現地紙が報じている。
今回のモラエス判事の判断は、連邦警察が行った起訴に応じたもので、逮捕令状への署名は今月5日に行われていたが、21日に公になった。
アラン氏は「虚報サイト」と目されている極右ブログ「テルサ・リーヴリ」の主宰者。昨年の「フェイクニュース捜査」、今年からの「デジタル・ミリシア(ネット犯罪者)捜査」の捜査対象の中心人物のひとりだ。
連邦警察が捜査を行った結果、アラン氏はネット上で「民主主義の終焉」「連邦議会、最高裁の閉鎖を訴えるなどの三権への攻撃」「軍事介入」などを繰り返し主張していたことが確認された。
同氏がボルソナロ家やボルソナロ氏支持の政治家とつながりのある人物から資金提供を受けていた容疑も強まっている。
こうしたことからの逮捕命令となったが、アラン氏は昨年から米国に住んでいるため、モラエス判事は法務省や米国大使館とも連絡をとった上で、アラン氏を国際刑事警察機構(ICPO、以下国際警察と略)の指名手配者リストに加えた。これにより、アラン氏は国際警察に逮捕され次第、ブラジルに強制送還されることになる。
さらに今回の命令に伴い、アラン氏が所有しているユーチューブなど、すべてのSNSのアカウントを使用停止にし、さらに同氏の銀行口座の公開も求めている。
アラン氏は、上院のコロナ禍議会調査委員会(CPI)が20日に行った最終報告でも、起訴を要求する66人の一人に含まれていた。検察庁は同氏逮捕に反対する意向を表明しているが、同CPIのレナン・カリェイロス報告官はアラン氏の逮捕を支持する声明を出している。
正式な形で逮捕命令が出たことを知ったアラン氏は当初、国際警察の出方を見るとしていたが、その後、自ら出頭する意向も口にし始めたようだ。
モラエス判事は昨年から今年にかけて、政治活動家のサラ・ウィンター氏、ダニエル・シルヴェイラ下議、ブラジル労働党党首のロベルト・ジェフェルソン氏ら、過激言動の大統領派を逮捕するための命令を続々と出し続けている。
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