サンパウロ州内陸部セラーナ市で行われた新型コロナワクチンの集団接種「S計画」の追跡調査の結果、2度目の接種終了から3カ月後も99%の人が抗体を保持しており、予防接種効果が継続している事が確認されたと15日付G1サイトや21日付アジェンシア・ブラジルが報じた。
S計画の第1ステップは2月から4月にかけて行われ、セラーナ市に住む18歳以上の人(妊婦や出産直後の人、基礎疾患のある人などは除く)で、調査への協力を申し出たボランティア2万8380人中、2万7722人がコロナバックによる2度の接種を受けた。
第1ステップは市内を四つに分け、1週間毎に各区域での接種を進め、2月17日から4月11日までの8週間で全協力者への接種を終えた。
予防接種の効果は、2度目の接種を完了する前の4月6日の報道でも、救急診療所の対応数が10日間で55%減少し、重症者は7分の1になったと報告された。
また、感染者や重症者の減少はこの時点では2度目の接種を終えていない地区でも確認された。地域内に予防接種を受けた人が増えると、接種を受けていない人や接種を完了していない人にも感染や重症化を防ぐ集団免疫効果が生じる事が確認されていた。
また、4月11日の接種完了後は、症状の出た患者が80%減少した上に、死者は95%、入院者も86%減るといった数字で、接種完了による効果が確認された。
S計画ではその後もボランティアの97~98%に抗体が生じている事を確認していたが、全員が2度目の接種を終えてから3カ月余りが過ぎた7月24~25日と7月31~8月1日に血液を採取し分析したところ、3903人のボランティアの99%が抗体を保持している事が確認されたという。
セラーナ市は20年に感染拡大が著しかったリベイロン・プレット市に隣接し、感染リスクはそれなりに高いと見られていたが、その後の状況を見ても集団的な予防接種の効果は充分に確認されており、変異株による感染爆発も起きていない。
また、今回の調査で3カ月後も高いレベルで抗体が保持されている事が確認された事は、コロナバックによる抗体がどの位の期間保たれるかを確認する意味で大きい。
コロナバックの国内生産を担当し、S計画の推進役でもあるブタンタン研究所は、今後も継続して抗体の保持率を調査して、抗体低下による補強接種が必要となる時期の見極めなども行う意向を表明している。