上院のコロナ禍議会調査委員会(CPI)が26日に承認した、78人と2企業の責任を問い、犯罪行為を告発する内容を含む最終報告書は、27日に連邦検察庁長官に手渡された。最終的に起訴を行うか否かの判断はアウグスト・アラス長官にかかっているため、これまでボルソナロ大統領に寛容だった同長官に対する憶測や上院での駆け引きなどの情報が飛び交っている。27、28日付現地紙、サイトが報じている。
CPIからの起訴請求を含む報告書が検察庁に届けられた際、アラス長官は半年間にわたるCPIの活動をねぎらい、その働きを賞賛した。「州や市レベルでの告発を含む、いくつかの捜査は既にはじまっている」とした上、不逮捕特権などを持つ当局関係者などへの告発の詳細が届いたことで、「捜査がさらに進むよう、努力する」と語った。
アラス長官は2019年8月の就任以来、一貫して、自身を長官職に指名したボルソナロ大統領に甘い判断を行ってきているだけに、今回も大統領に対して行った九つの起訴請求がお蔵入りにされることが予想されている。
だが、こうした状況がありながらも、報告書提出の場に参加したシモーネ・テベテ上議は、「アラス長官の言葉にたしかな手応えを感じた」との言葉で、好感触を覚えたことを表現した。同上議はCPIの委員ではないが、審議にも頻繁に参加し、召喚者に鋭い質問を浴びせるなどして、「G7」と呼ばれるCPIの多数派上議やその審議に貢献した人物だ。報告書提出の場にはG7の委員たちも同席した。
また、一部の上議たちは同日、報告書の写しを、最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事に持参した。同判事は最高裁での「デジタル・ミリシア(ネット犯罪者)」の捜査担当だ。
上院CPIの報告書は、検察庁や最高裁だけでなく、サンパウロ州や連邦直轄区の検察局、連邦会計検査院(TCU)などにも送られる。大統領の犯罪行為に関する告発は国際司法裁判所に対しても行われる予定だ。
また、上院CPIは今後、検察庁や検察局、最高裁などでの捜査や、報告書に盛り込まれたコロナ孤児救済などの法案審議などの行方を見守るための監視機関(オブセルヴァトリオ)を設置し、報告書の内容が遂行されるよう働きかける。
上院がこのような対策に出る背景には、起訴請求の中にボルソナロ大統領や3人の息子、ボルソナロ政権の現・前閣僚7人などが含まれているため、検察庁が連邦政府の圧力に屈する可能性があるためだ。
だが、アラス長官の側近たちがCPIの提出した報告書に関し、「十分な量の証拠と、それに基づいたテーマごとの結論が明記されている」と前向きな評価を下していることは、フォーリャ紙の取材で明らかになっている。側近たちはCPIの半年にわたる入念な調査と審議、それに基づく1200ページを超える報告書を高く評価し、「捜査は先に進むであろう」との楽観的な見方をしているという。
だが、最高裁はCPIの起訴請求に厳しい見方をしているようだ。UOLサイトが一部の最高裁判事にたずねたところ、判事たちはCPIのまとめた報告書は政治色が強く、司法側の観点からすると「弱い」と見ており、大統領を有罪に導くのは難しいであろうとの見解を示しているという。