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《ブラジル》Anvisaが大統領発言否定=「接種による病気誘発はない」=状況改善は接種効果とも強調

Anvisaが大統領発言を否定したと報じる27日付G1サイトの記事の一部

 ボルソナロ大統領が恒例ライブで「新型コロナのワクチン接種者はエイズ罹患の可能性が高いとの報告がある」と語り、虚報拡散と批判された件で、国家衛生監督庁(Anvisa)が27日、「コロナワクチン接種による病気誘発はない」と明言したと同日付現地サイトが報じた。
 大統領発言は世界中の批判の的で、ベネズエラのマドゥーロ大統領さえ揶揄。新型コロナワクチンとエイズを関連付け、不安をかきたてた発言には医学界も猛反発し、国民を守るべき当局が国民を危険にさらす虚報を何百も拡散と批判した。
 上院のコロナ禍議会調査委員会(CPI)が最終報告書で大統領の虚報拡散の責任も問う決断を下した事は周知の事実だし、最高裁も既に検察庁に捜査を命じている。
 大統領は以前も、ブラジルで使用中の新型コロナワクチンは試験中で安全性の保証がないとし、医薬品の安全性を調べ、使用許可を出すAnvisaからの反論を受けた。
 今回のAnvisaの反論はアントニオ・バラ・トレス理事長が行った。同理事長は理事会の冒頭で「どのワクチンも他の病気に罹りやすくする事はない」と明言すると共に、新型コロナの感染者や死者の減少は予防接種が進んだ結果とし、「国家予防接種計画」への参加も促した。

 大統領や関係者による予防接種の効果や安全性などに疑問を呈する内容の虚報拡散は、優先接種対象の先住民達が怖がって接種を拒否した事で保護区内で感染蔓延し、多くの死者が出る例や、コロナ感染症の怖さを認めず、治療を拒んで死亡する例なども生んだ。
 また、ワクチン以外の原因で死亡した治験者や接種者が出た時も、吹聴して接種への不安をかきたてようとしたが、この時もAnvisaが安全性を確認している。
 新型コロナウイルスは新しい要素を持ち、接種国でも変異株による感染再燃発生、新技法で開発したワクチンへの疑問など、様々な疑問は生じうる。だが、ワクチン開発や安全性検証は過去の研究や相当数の治験に基づいて行われている。
 無論、どのワクチンも感染を完璧に防ぐ事はできないし、体質などの問題で受けられない人もいる。だが、サンパウロ州セラーナ市での集団接種による予防接種効果の高さ、接種率が約3割のロシアでは死者や感染者が新記録を更新中でロックダウン適用などといった例を見ると、自分や周囲の人を守るための予防接種促進は不可欠といえそうだ。
 サンパウロ市の格差地図では、接種年齢に達する前に仕事や求職のために出かける必要に駆られた若者が感染し、死亡したと思われる地区も出ている。

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★2021年10月28日《サンパウロ州》セラーナ市での集団接種=99%が3カ月後も抗体保持
★2021年10月26日《サンパウロ市》同じ市内で死亡時の平均年齢に22年の差!=地区別の貧富の格差を反映