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《ブラジル》新社会保障制度は年内227レアル支給か=憲法補足案の承認が遅れで

ゲデス経済相とボルソナロ大統領(左から、Reprodução YouTube)

 ボルソナロ大統領が平均支給額を400レアルに引き上げる事にこだわり、歳出上限の枠突破やインフレ更新への懸念から、株式市場の混乱まで招いた新社会保障制度「アウシリオ・ブラジル」は、平均で227レアルへの引き上げでスタートする事になると、26日付IGサイトや28日付イストエ電子版などが報じた。
 アウシリオ・ブラジル(以下アウシリオ)は、ルーラ政権時代に始まった生活扶助のボルサ・ファミリアに代わる社会保障制度で、11月から正式にスタートする。
 だが、ボルソナロ大統領がこだわり、ジョアン・ロマ市民相が11月からスタートと発表した時も言及した平均支給額400レアルは、11月には実現できないようだ。
 それは、11~12月分は21年度予算の範囲内で支給される事と、裁判所が支払いを命じた負債(プレカトリオ)を分割して払うための憲法補足案(PEC)の承認が遅れている事などが原因だ。
 ロマ市民相は28日も、「PECが承認されれば最初から400レアルを支払いたいのだが」とし、現状の見込み通りなら12月、承認が遅れた場合は1月から、400レアルに引き上げる意向を表明した。

 これにより、少なくとも11月、場合によっては12月も、平均支給額は、現状の平均支給額189レアルの約20%増しの227レアルとなる見込みだ。
 連邦議会が、連邦政府と議会が合意した内容のままでPECを承認すれば、約800億レアルのゆとりができ、平均支給額を400レアルに引き上げても歳出上限を突破せずにすむ見込みだ。
 来年の大統領選挙を見据えた大統領が平均支給額を400レアルに引き上げる事を求め、ゲデス経済相が「歳出上限を超えるための特別許可を得る」と発言した上、PECの内容まで変えた事は株式市場の混乱を招き、経済省の正副局長4人が辞任する事態まで招いた。
 27日付IGサイトによると、ボルソナロ大統領は同日のラジオ番組のインタビューで、「来年の選挙での再選を目指すなら『平均支給額は600レアルにするべきだ』との進言も受けている」と語ったという。
 だが、これらは皆、PEC承認などの議会の動き次第だ。29日付G1サイトによれば、大統領は同日、PECが承認されなければ、平均支給額を400レアルに引き上げる事は難しいという見解を支持者達に示したという。