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《ブラジル》大統領抜きでCOP26に参加=CO2排出削減など宣言も

レイテ環境相(Marcelo Casal Jr./Agencia Brasil)

 10月31日から12日まで、英国グラスゴーで国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が開催されている。ブラジルはボルソナロ大統領が欠席し、州知事たち10人のグループが参加したことなどが話題となった。1日付現地サイトが報じている。
 世界各国の首脳が集まるCOP26だが、ボルソナロ大統領は、G20で滞在中のイタリアで「第二次大戦に参加した兵士たちの慰霊祭に出席したい」として欠席を表明。その態度は国際的な批判の的となった。また、カルロス・アルベルト・フランサ外相も欠席した。
 ブラジルからはジョアキン・レイテ環境相と国家主権および市民権問題局長のパウリーニョ・デ・カルヴァーリョ・ネット氏が参加しているが、それと並行して、「コンソルシオ・ブラジル・ヴェルデ」と呼ばれる、州知事たちが組んだグループも参加した。このグループは全22州の知事の連合だが、今回の会議には、ジョアン・ドリア・サンパウロ州知事やエドゥアルド・レイテ・リオ・グランデ・ド・スウ州知事、エルデル・バルバーリョ・パラー州知事ら、10人の知事が参加している。
 ブラジルのレイテ環境相は1日にスピーチを行い、「2030年までに二酸化炭素(CO2)に換算した温室効果ガス排出量を43〜50%削減し、2050年までにはカーボンニュートラルを実現(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させる)するように努める」と、国の目標を語った。

 また、スピーチの前には、ボルソナロ大統領による、再植林や温室効果ガス排出量が少ない農業技術の開発などに500億レアルの投資を行うことなどを盛り込んだビデオも流した。
 環境相が示した数字は、10月20日に連邦議会が承認した気候変動に関する目標を定めた法案に沿ったもので、どれだけの量の温室効果ガスを削減するかには何も言及していない。現在のブラジルは世界で6番目の温室効果ガス排出国だ。
 ボルソナロ政権下でのブラジルは、森林伐採や森林火災が増加し、温室効果ガス排出量が増加傾向にある。COP直前には、コロナ禍の最中の2020年も、全世界の温室効果ガス排出量が前年比で7%減少したのに対し、9・5%増加するという逆行現象を見せていたことが報告された。
 また、森林伐採も2020年は前年比で7・13%増加。森林伐採や森林火災は、今年に入ってからも減っていない。
 さらに、COP26の前週の10月25日に連邦政府は環境プログラム「クレッシメント・ヴェルデ」を発表。立ち上げの記者会見にはボルソナロ大統領や環境相、モウロン副大統領らも参加した。同プログラムは「経済成長をしながら環境対策を行う」という内容で、11の省庁や公的銀行が参加し、4千億レアルを投入と約束しているが、環境の専門家たちからは「外見だけで実態がない」と強い批判を受けていた。