金融機関同士が情報を共有する事で顧客が利用できるサービスや商品を増やし、より良い条件のサービスや商品を使えるようにするために、中央銀行が推進中の「オープン・バンキング(OB)」。これが10月29日に第3フェーズに入り、PIXのユーザーは、小売店やソーシャルネットワークのような銀行以外のアプリを使った支払いも可能となると同日付G1サイトやエスタード紙電子版などが報じた。
PIXユーザーはこれにより、アプリで食べ物を買う際なども、デビットカードやクレジットカード、PIX以外の支払いシステムとしてOBを選ぶ事が可能になる。
PIXユーザーがOBを選んだ場合は、自分の銀行口座にログインし、小売店やソーシャルネットワークなどが持つシステムがその口座から金を引き出し、アプリやレストランなどの目的地に送金する事を認めるという形で支払いを完了する。支払いはOBの経済システム内のPIXを通して行われるので、即座に支払いが終了する。
銀行や金融機関は段階的にオープンな金融システム(OB)に参入している。OBは8月13日に第2フェーズに入っており、各銀行や金融機関は消費者が承認した内容に従って、当座預金口座の明細書などの銀行データや、名前、納税者番号(CPF)といった登録データにもアクセスできるようになった。この機能は金融機関と顧客との関係を促進し、セクター内の競争を促す。
他方、第3フェーズでは、支払いがより簡便になる。第3フェーズは8月30日に導入のはずが先送りされていた。このフェーズの利用者はまだ少数だが、消費者の許可を得た場合、第3者団体や銀行は消費者の銀行口座にアクセスし、最も早い方法で送金、支払いを行う事が可能となる。
第2フェーズは銀行による顧客データの読み取りを可能にするが、第3フェーズは顧客の口座への情報の書き込みや金の移動(送金や支払い)を可能にする。
第3フェーズでは、PIXを使って支払いを行うためのサービス共有を可能にするAPIや、同意の作成や照会、取り消しのための様々なアプリを結びつけるAPIの利用が可能となる。これにより、複数の銀行や金融機関から融資などの提案を受けてその内容を比較する事や、A銀行で不動産購入の融資を受けたいが、口座はB銀行にしかないという人がA銀行のアプリで融資を受ける事も可能となる。
第3フェーズのサービスにアクセスできる顧客はまだ限られており、銀行側が選択する。14日までは利用できる時間帯は営業日の6~20時、利用できる金額の上限は1千レアルだ。
だが、15~30日には1%の顧客に、月~水曜日の6~20時と木~金曜日の6~24時の利用が認められる。また、12月1日~1月31日にはQRコードの利用が始まり、全利用者がシステムにアクセスできるようになる。利用時間も毎日24時間となる。
2月1~17日にはPIXでの予約払いが始まり、送金額の制限もなくなる。来年中には、TEDやDOC、自動引き落とし、その他の支払い方法の利用も可能になる予定だ。