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岡野護編著=『年表 移住150年史』=邦人・日系人・メディアの足跡綴る

表紙

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 『年表 移住150年史~邦人・日系人・メディアの足跡~』(岡野護編著、海外日系新聞放送協会制作)が、昨年9月20日に日本の風響社から発刊された。
 幕末から2020年まで、14カ国・地域と日本国内の移民に関する出来事を年表として網羅した。写真口絵、重要語句解説、地域別移住略史、索引などで、外地に暮らす邦人・日系人の歴史の全容を展望できる。各地で刊行された邦字新聞やラジオ等の活動もおさめた決定版だ。
 2018年6月、日本人の最初となるハワイへの集団移住から150周年を迎え、いまや海外日系人と表される移民の一世とその子孫は六、七世の代となり、総人口も推定380万人になるともいわれている。
 そんな移民史を、日系メディアという切り口から紐解いた同著。編著者の岡野さんは、150年におよぶ日系移民の歴史について「日本に住む日本人にももっと知ってほしい、日系人にとっての記念日に思いを馳せてもらいたい」という思いから筆を執った。
 岡野さんは1973年に海外日系人協会に就職。海外日系新聞放送協会の設立にも係るなど、約半世紀も移住者や日系人と関わってきた。
 あとがきで岡野さんは、「ほとんどの国は日本の国策で移民を送り出してきた歴史があり、(中略)日本の政策の影響を多く受けてきた」と指摘。本書を作る中で「移住者の悲憤慷慨の身上を思い、時には喜びの気持ちを同じくしたことがたくさんあった」と振り返る。
 14カ国ごとにおおよその移民史をまとめた「地域別移住略史」や「写真で見る移民の歩み」なども納められており、見ごたえがある。