ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》ボルソナロが連警人事介入疑惑で対面供述=元法相と最高裁指名で裏取引=政党入りの直前のモロの足引っ張る?

《ブラジル》ボルソナロが連警人事介入疑惑で対面供述=元法相と最高裁指名で裏取引=政党入りの直前のモロの足引っ張る?

4日のボルソナロ氏(Youtube)

 ボルソナロ大統領は3日、同大統領が2020年4月に行ったと疑われている連邦警察の人事への介入疑惑について、連邦警察からの事情聴取を受けた。大統領は自身の潔白を主張し、訴えを起こしたセルジオ・モロ(当時)法相が「最高裁の座を欲しがっていた」などの供述を行った。4、5日付現地紙、サイトが報じている。
 これは昨年4月、ボルソナロ大統領が自身の息子である長男フラヴィオ上議や次男カルロス氏に対してラシャジーニャ疑惑の捜査の手が伸びることを恐れ、連邦警察の長官だったマウリシオ・ヴァレイショ氏を更迭したという疑いを持たれたことに対するものだ。
 ヴァレイショ氏はモロ氏の右腕的存在で、大統領が事前に意図していた解任に強く反対。モロ氏はこの件に関し、大統領が同氏に「他の地域はお前がやっていいが、リオだけ俺にくれないか」と言ったなどと証言し、大統領を訴えていた。
 ヴァレイショ氏は形の上では辞任となっており、官報にはモロ氏の署名も掲載されたが、ヴァレイショ氏は辞表へのサインを強要されたと発言。モロ氏も官報掲載まで知らなかったとして、同年4月24日に法相を辞任した。
 大統領が連警長官の人事に介入したとの嫌疑に関する捜査は、モロ氏が辞任表明後の会見でこれらの経緯を明らかにした直後にはじまったが、大統領が対面での供述を嫌い、文書での回答を望んだことで、事情聴取が遅れた。
 今回の事情聴取は、大統領が対面で応じる意向を表明したことで実現。連邦警察のレオポルド・ソアレス・ラセルダ捜査官による事情聴取は、3日夜、プラナウト宮で行われた。

 大統領はまず、「2019年末にヴァレイショ氏の解任をモロ氏に求めたのはなぜか」との問いに、「ヴァレイショ氏の手腕が悪いわけではなかったが、私と連邦警察の連携がうまくなかったためだ」と主張した。
 また、モロ氏辞任の2日前の閣議で、「私は自分に情報をくれない連警を持っているのか」と発言したことに関しては、「連警の三権への情報伝達が速やかでなかったことに関する苦言だ」とし、息子たちへの捜査状況に関する発言ではないと主張した。
 また、2019年8月にモロ氏に対し、リオ州の司令官を替えるよう求めたことに関しては、「リオ州は国内で最も複雑なところだ」と語った。
 さらに、大統領やその家族の警護は大統領府安全保障室(GSI)の管轄であるにもかかわらず、昨年4月22日の閣議で「家族を守るために連邦警察を替えた」と発言したことに関しては、「GSIはもちろんだが、連警も替えたほうがより安全だからだ」と主張した。
 ボルソナロ氏は、「ヴァレイショ氏の後任にブラジル情報庁(Abin)のアレッシャンドレ・ラマジェム氏を据えることに関しては、モロ氏自身も、同氏を最高裁判事に推薦した後にという条件付で同意していた」と語った。
 これに対し、モロ氏は4日、「そのような役職のとりひきはしていない」と否定した。モロ氏の弁護士は、事情聴取にはモロ氏も同席し、供述内容に疑問があった場合には質問することが認められていたのに、3日の事情聴取はモロ氏への通達もなく行われたとして、連警が合意に反する形で捜査を進めたことも明らかにした。
 モロ氏の保守政党ポデモス入りが10日に予定されている中、その1週間前というタイミングでこの大統領供述が行われた。モロ氏は2022年大統領選への出馬が有力視されており、ボルソナロ氏にとっては保守派での票の取り合いが予想されている。