【既報関連】5日午後発生し、セルタネージャの女性歌手、マリリア・メンドンサら5人が死亡した小型機の墜落事故はブラジル中を驚きと涙で包んだ。その目撃証言や現場検証の結果などから、小型機は現場近くにある送電線に接触し、墜落した可能性が濃厚になっている。
ブラジル国内紙やサイトは5日以降、この事故に関する情報を連日報じている。
メンドンサとおじのアビシエリ・シルヴェイラ・ジアス・フィーリョ氏の遺体は、6日朝、ゴイアス州ゴイアニアに運ばれ、その日の内に葬儀と埋葬が行われた。プロデューサーのエンリケ・リベイロ氏の葬儀と埋葬はバイア州サルバドールで、正副操縦士の葬儀と埋葬は連邦直轄区で行われた。
滝の傍らに墜落した事故機やエンジンの回収は現場検証が終了した6日から始まり、クレーン車なども動員された。足場が悪い事や、エンジンのひとつは機体から離れたところに落ちていた事などから回収は手間取った。回収作業は8日に終わり、機体そのものは9日午後、事故原因の調査のためにリオ州に運ばれた。エンジンは10日にサンパウロ州内陸部のソロカバ市に運ばれる。
事故機には運航記録となるブラックボックスがないため、原因解明は、目撃証言や現場検証の結果と機体やエンジンの調査を通して行われる。
事故原因については、現場近くにある送電線が切れていた事などから、事故の直後から、送電線に接触した事が直接的な原因との見方が出ていた。8日には、回収された双発機のプロペラに送電線と見られるコードが巻きついていた事が確認されている。ただし、そのコードが切れた送電線かは今後の鑑定を待つ必要がある。
現場に近い、塀で囲まれた集団住宅に住んでいるロサナ・ボルトット氏とその夫は、外出しようとした時に墜落に伴う大きな音を聞いた。夫妻が住む住宅には防犯カメラもあり、映像には、ロサナ氏が扉を閉めた時、墜落が起きた事を示す音が響き渡った様子や、事故発生を通報する夫の姿なども残っている。
ロサナ氏は事故を目撃したショックで、就眠時にも薬の服用が必要だった。事故原因の調査のために7日に同家を訪れた航空機事故調査予防センター(Cenipa)職員と市警に同伴してきた心理学者と話し合い、胸中の思いを吐き出す事ができた事で、落ち着きを取り戻したという。
種々の調査や解析にはまだまだ時間がかかるが、ロサナ氏の証言は、遺族や関係者だけでなく、直接・間接に事故に関わった人達が精神的な安静・安定を取り戻せるようなサポートも必要な事を教えてくれる。