サンパウロ市市役所が10日、少なくとも12月初めまではマスク着用義務を継続すると発表したと同日付現地サイトが報じた。
リカルド・ヌネス市長は11月後半には開放空間でのマスク着用義務解除をと願っていたが、専門家達が新型コロナワクチンの接種完了者が12歳以上の95%を超えるまではマスク着用義務を継続すべきとしたため、着用義務の解除は12月以降に見送られた。
着用義務解除を含めた感染状況の再評価は、12月早々に行われる予定。12歳以上の95%がワクチン接種完了し、感染者や死者の減少傾向が継続している事が確認された時点で着用義務が解除される見込みだ。
健康監視監督局伝染性急性疾患監視センターのコーディネーターのパウラ・ビゾルディ医師は、「感染者や死者、入院者の数から見たサンパウロ市の感染レベルは3段階中の2」とし、マスク着用義務継続の必要性を説いた。
サンパウロ市のマスク着用義務解除基準は、州政府が3日に示した姿勢に沿ったものといえる。サンパウロ州では、開放空間で人ごみがない場合のマスク着用義務解除の基準として、州人口の75%がワクチン接種を完了する事と、新規感染者の7日間平均が1100人、新規の入院者の7日間平均が300人、死者の7日間平均が50人を、各々下回る事を挙げている。
3日現在の接種完了率は68・5%、新規感染者の7日間平均はほぼ800人、入院者の平均は400人弱、死者の平均は60人強だった。
なお、サンパウロ州政府は10日朝、州人口の70・96%がワクチン接種を完了したと発表した。ブラジルには連邦自治体が27あるが、接種完了者が州人口の70%を超えたのはサンパウロ州が初めて。同州では18歳以上の90・11%が接種を完了している。
州人口に占める接種完了者の割合はマット・グロッソ・ド・スル州が65・29%、リオ・グランデ・ド・スル州が62・43%と続く。全国の接種完了者は56・52%だ。
開放空間でのマスク着用義務を最初に解除したのは、10月28日から解除としたリオ市だ。同市では8日にワクチン接種完了者が70%を超えたとして、閉鎖空間での着用義務解除も検討し始めたが、こちらも当面は着用義務を継続する意向だ。
専門家の間では、新型コロナ感染症は大気中の飛まつやアエロゾルを介しての感染が中心で、開放空間であっても着用義務解除には慎重な声が多いようだ。
サンパウロ州のコロナ対策班は、病院などの複数の場所ではコロナ禍が収束した後もマスク着用の継続を勧めていく意向だ。
★2021年11月10日《サンパウロ州》昨年3月以来初のコロナ死者ゼロ=他8州でも記録、収束に前進=全国一、65%接種完了
★2021年10月28日《ブラジル》戻ってくる当たり前の日々=リオは解放空間でマスク解除=過半数の州はコロナ死者10人未満に
★2021年10月26日《ブラジル》コロナ禍=死者数300人台が13日連続=聖州4病院は1週間入院ゼロ=連休後の感染増加に不安も