ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》セルジオ・モロがポデモス入党セレモニー=貧困対策や汚職撲滅を強調=大統領選出馬明言は避ける=会場からは「裏切り者」の声も

《ブラジル》セルジオ・モロがポデモス入党セレモニー=貧困対策や汚職撲滅を強調=大統領選出馬明言は避ける=会場からは「裏切り者」の声も

モロ氏会見の様子(Twitter)

 ブラジリアで10日、ラヴァ・ジャット作戦の元担当判事で、ボルソナロ政権元法相のセルジオ・モロ氏の政党「ポデモス」への入党セレモニーが行われた。同氏は大統領選での支持率も高いが、その一方で「政界入りしない」との前言を撤回したことで、会見中に「裏切り者」の野次が飛ぶなど、政界入りには賛否両論が出ている。10、11日付現地紙、サイトが報じている。
 モロ氏の政党入りは、20年4月に、ボルソナロ大統領が「連邦警察の人事に介入した」として対立して辞任したときから囁かれていた。当時から、同氏の受け入れ先は、18年の大統領選候補で、当時から「私が当選のあかつきにはモロ氏を法相に」と公言していたアルヴァロ・ジアス氏が党首をつとめる保守政党ポデモスであろうと目されていた。
 モロ氏は大統領選の世論調査でも5〜10%の支持率を得て、シロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)と3、4番手争いをしている。今回の入党式も、「将来の大統領」と銘打って行われたが、この場では大統領選に関しても、選挙への出馬に関しても、明言は避けられた。
 モロ氏はこの日の演説で、最大の課題は「貧困を終わらせること」とし、環境問題や経済問題にも取り組んでいきたいと語った。また、「私たちの唯一の武器は、真実と科学と正義」と語り、本人や支持者の間でフェイクニュースや陰謀論が目立つボルソナロ大統領との路線の違いをうかがわせる主張も行った。

 モロ氏はさらに、かねてから主張するところの「汚職撲滅」も強調した。同氏は「メンサロンやペトロロン(ペトロブラス絡みの疑惑)、ラシャジーニャ(職員給与ピンハネ)、秘密予算はたくさんだ!」と宣言することで、大統領選の世論調査で1、2位を争うルーラ元大統領(労働者党・PT)やボルソナロ氏が汚職に関わってきたことをほのめかし、撲滅への努力を主張。さらに、自身がかねてから主張する「2審判決後の実刑開始」を改めて訴えた。
 だが、この日のモロ氏の会見に関して厳しい反応をするメディアもあった。エスタード紙は、「人気絶頂だったラジャ・ジャット作戦時の勢いがない」と評し、「経済や貧困に対する言及も、インフレに苦しむ国民に届くほどの説得力がない」とした。
 また、グローボ系列のG1サイトも、「モロ氏のこれまでの発言の変遷」と称し、2017年以前の「政界入りはしない」、2018年の法相就任前の「あくまで専門分野だから法相は受ける」から一転して政界入りしたことを指摘した。エスタード紙もグローボも、ラヴァ・ジャット作戦時にモロ氏を称えてきたメディアだった。
 会見中には「裏切り者」の野次も飛んだ。この野次には、政界入りすることで、判事時代にモロ氏がルーラ氏に下した実刑判決が政治的偏りによるものだったことが示されたこと、法相時代にボルソナロ氏と対立したこと、過去の発言が撤回されたことなどの意味が含まれていると解釈されている。