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《ブラジル》経済省=GDP成長見込みを下方修正=インフレ予測は9・7%に

経済省(Marcello Casal Jr./Agencia Brasil)

 経済省経済政策局(SPE)が17日、今年の国内総生産(GDP)の成長見込みは5・1%、インフレ予測は9・7%とするマクロ経済報告書を発表したと同日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
 GDPの成長見込み率は、9月に出された5・3%が5・1%に下方修正されたが、インフレ予測は7・9%が9・7%に上方修正された。
 GDPの成長見込みの下方修正は、財政状況の悪化とインフレ高進、経済基本金利(Selic)の連続的かつ大幅な引き上げ、ドル高レアル安が主な原因だ。
 Selicは10月の通貨政策委員会(Copom)で、当初予想を上回る1・5%ポイント引き上げられ、7・75%に達した。12月の委員会では前回同様かそれ以上の引き上げとなる可能性があり、ドル高がさらに進む見込みだ。
 他方、インフレ抑制の切り札のはずのSelic引き上げが期待通りに機能せず、インフレが高進している事も懸念の種だ。インフレ高進の主要因は、ガソリンやディーゼル油などの燃料費や、少雨・干ばつで深刻化した電力危機に伴う電気代の値上がりだ。
 また、中国や欧州諸国で発生している電力危機にコロナ禍で生じた諸要因が重なった部品不足や需要低下は、ブラジル国内の工業生産にも悪影響を与えている。コモディティ価格の高騰も電気代や食料品価格、金属製品価格の値上がりを招いている。

 ブラジル国内の経済活動は第3四半期に減速した。これは工業や商業の落ち込みが主な原因で、農業生産も横ばい状態だ。ただし、サービス業が順調に回復している事もあり、第4四半期は回復基調を維持すると見られている。
 SPEは今年の経済成長を促進する肯定的な要因として、ワクチン接種の進展とモビリティの再開による雇用の回復や民間投資の増加なども挙げている。連邦政府も公的負債軽減などを念頭に置いた財政再建への取り組みや、生産性向上のための市場支援型改革を続けていく意向だ。
 SPEの報告書にある今年のGDPの成長見込みやインフレ予測は市場の見方と軌を一にしているが、来年のGDP成長率は2・5%が2・1%に下方修正された後も、市場が予測している0・93%より高い。
 SPEは、来年の成長予測が高めなのは、インフラを中心とする民間投資の伸びと雇用回復を考慮したためと説明している。失業率は13・2%で高止まりしているが、正規雇用はコロナ禍前の状態に戻りつつあり、失業率も下がるはずだから、2%台の成長は可能と見ている。
 今年のインフレ見込みは、広範囲消費者物価指数(IPCA)が12カ月間で10・67%上昇している事もあり、9・7%に、来年の予測も、3・75%から4・7%に引き上げられた。
 SPEでは、最低給料五つまでの家庭のインフレ指数の全国消費者物価指数(INPC)は年末時点で10%、卸売物価指数や建設コスト指数を含む総合市場物価指数(IGP―DI)は同18・7%と見ている。