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PLへの「妥協入党」以外に道はない

PLのコスタ党首(Jose Cruz/Agencia Brasil)

PLのコスタ党首(Jose Cruz/Agencia Brasil)

 来年の大統領選まで1年を切った中で、ボルソナロ大統領の所属政党が18日現在、決定していない。22日に入党式を予定していた自由党(PL)が、式の無期延期を14日に発表。ボルソナロ氏本人は「調整」を主張するが、コラム子にとって、その調整は「限りなく不可能に近い」と思える。
 なぜか。それは同党の州支部がボルソナロ氏に協力的とは思えないからだ。「北東部はルーラ氏支持を推している」「7つの州支部が反ボルソナロ派の候補を知事選で支持」。この状況でボルソナロ氏の望みを強要すると、州支部からの内部崩壊が避けられないものとなってしまう。
 それだけではない。「ボルソナロ氏を受け入れる」ということは、同氏の息子たちや、大統領の前所属党・社会自由党(PSL)に仕方なく籍を置き続けているうるさ型の極右議員たちを受け入れなくてはならないことを意味する。
 いわば「乗っ取り」を覚悟しなくては成立しないことなのだが、それをやるには、すでに下議42人を誇っている同党は規模が大きすぎる。大統領たちの勢力が入ってきても、それ以上の数の人材が流出することにもなりかねない。そのあたりの計算が、党首のヴァルデマール・コスタ氏に出来ていたのか。コラム氏には甚だ疑問だ。
 ただ、とはいえ、ボルソナロ氏に所属政党選びに余裕がないことも事実だ。仮にPL入りを逃したらどうなるか。そうなると、もう知名度のある政党からの出馬は望めず、どこかの零細政党をなかば乗っ取る他に方法がなくなってしまうためだ。
 そもそもPLよりも相性の良さそうな政党ならボルソナロ氏にはあった。だが、最も福音派色の強い「共和者」や愛国者集団の「パトリオッタ」、党首のロベルト・ジェフェルソン氏がボルソナロ信者の言動を真似るパフォーマンスをしてまで招き入れたがったブラジル労働党(PTB)でさえ、党全体の支持が得られず入党にこぎつけられなかった。
 もうひとつ候補にあがっている進歩党(PP)は大型政党でボルソナロ氏が10年以上在籍した古巣だ。だが、過激さを嫌う実務中心の典型的な「古い政治」を実践するセントロン政党なので、過激さを求めるボルソナロ信者たちのプライドが許さない。となると、今回のPLへの入党の機会を失うとボルソナロ氏には行き場がなくなってしまう。
 結局は妥協してPLに入る以外に選択肢がない。これがボルソナロ氏の実情だろう。ただ、今のうちからこれだけ問題が多いと、肝心な選挙期間に党内の足並みが揃わない事態も起こりうるのではないだろうか。(陽)