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《ブラジル》中銀がデジタル通貨発行を確約=22年に導入開始、24年完成

中銀総裁が22年にレアルの電子マネーのパイロットプラン導入を約束と報じる20日付インヴェスティング・サイトの記事の一部

 中央銀行のロベルト・カンポス・ネット総裁が20日、ブラジル国内でも「Real Digital」(以下、RD)という中銀デジタル通貨(CBDC)を導入するための準備中である事を明らかにしたと20日付コインテレグラフ・サイトなどが報じた。
 同総裁によると、RDは2022年から導入されるが、最初はブロックチェーンと呼ばれる共有元帳を使っての試行段階だ。ブロックチェーンはネットワーク全体の金の動きを記録し、資産を追跡するプロセスを容易にする。RDの最終ヴァージョン完成は2024年の予定だ。
 電子マネーに関する構想は以前から折りに触れて言及されていたが、今回の発表は、1日24時間、1年365日、全国どこからでも即刻での送金や入金ができるPIX導入から1年を経た事などを受けて行われた。
 中銀デジタル通貨は紙幣や硬貨を使わず、電子的に決済を実現する手段で、オンラインでの決済の他、電車に乗る時やコンビニでの支払いの時などに使われるような非接触型の決済方法もある。
 カンポス・ネット総裁によると、PIXやオープン・バンキングがより成熟し、全国を網羅するCBDCをサポートできる状態になった時、RDも完成するという。
 電子マネーと実際の紙幣や硬貨との決定的な違いは、電子マネーは紙幣や硬貨とは交換できない事だ。電子マネーの利用者はCBDCが発行するコードを受け取り、携帯電話などを介して決済を行う。電子マネーは買物や支払い、送金、投資などに利用できる。

 電子マネーの管理は中銀(CBDC)が行い、利用者は自分が所有するレアルを電子マネーの端末に入金したり、電子マネーでの支払い時に使う口座に入れたりする事もできる。中銀が発行・管理する電子マネーは銀行や金融機関その他の決済システムを通して利用されるが、消費者が電子マネーに直接アクセスし、銀行を必要としない場合もあり得るようだ。
 また、CBDCは金融統合に焦点を置かない。これは、デジタルバンクやフィンテック、PIXなどのデジタルツールが提供しているからだ。
 電子マネーは中国などでも機能し始めたが、多くの国では電子マネーの機能は支払いや個人・法人間の送金などに限定されている。だがRDは、プログラミング可能な金を使った機能的契約や分散型金融、Dappsその他を対象とする金融アプリケーションに焦点を当てていく。
 カンポス・ネット総裁は、PIXはまだ初期段階の機能しか持っておらず、金融操作の道具としての機能は30%しか発揮できていないとも語った。金融操作の道具としてのPIXが持つはずの機能は、国際PIXやオープン・バンキングと連結するオープン・ファイナンスなどで、上院が審議中の為替に関する基準変更も反映される。
 中銀は英国やイタリアなどと国際PIXに関する協議を進めており、他国の口座との間の即時送金はRDの導入前に実現するはずだ。
 RDはPIX同様、現金決済より迅速かつ安全と見られており、国内で流通する紙幣や硬貨の大幅減量も招く見込みだ。

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