自由党(PL)は23日、22日に行う予定だったが延期されていたボルソナロ大統領の入党式を30日に行うと発表した。大統領とヴァルデマール・コスタ・ネット党首との間で意見が対立していた州知事選挙などの調整がついたと思われる。24日付現地紙が報じている。
ボルソナロ氏自身が立ち上げる予定だった新党「アリアンサ・ペロ・ブラジル」の結党が進まなかったため、2019年11月から無所属だったボルソナロ大統領は、10日にPL入りを宣言。党の登録番号にちなんで22日に入党式を行う予定だったが、14日に州知事選の方向性などをめぐり、ヴァルデマール党首とメールで大喧嘩となり、入党式が延期された。
その後、PLの上層部が動き、調整に努めたこともあり、ボルソナロ氏も軟化。24日にはボルソナロ氏も、「30日の午前10時30分に入党式を行う」予定であることを認めた。
ボルソナロ氏はこの日、取材陣に対して「サンパウロ州や北東部に関しても合意が成立した」と語っている。14日に行われた喧嘩は、PLがサンパウロ州知事選で大統領と敵対関係にあるジョアン・ドリア知事の後継候補のリカルド・ガルシア氏、北東部が大統領選でルーラ元大統領を支持する陣営が党内にあったためだ。
ボルソナロ氏は来年のサンパウロ州での選挙に強い思い入れを持っている。知事選では現インフラ相のタルシジオ・デ・フレイタス氏をPLに招いて自身の候補にしたいと願っている。タルシジオ氏は連邦政府の閣僚の中で、ボルソナロ氏が最も信頼を置いている大臣のひとりだ。
軍人で選挙経験がなく、サンパウロ州出身でもないため、確実な得票が見込めないことから、タルシジオ氏自身は当初、この案に難色を示していたという。
タルシジオ氏自身は、票田になりそうなマット・グロッソ州かゴイアス州から上議選にと考えていたが、有力候補と見られていたジェラウド・アウキミン元サンパウロ州知事がルーラ氏の副大統領候補となるとの噂が立ったことで、態度を軟化させはじめたとされている。
ボルソナロ氏はまた、サンパウロ州選出上議の候補にリカルド・サレス元環境相を据えることを考えている。サレス氏はアウキミン氏の知事時代に環境局長の経験があり、サンパウロ州に地盤はあるものの、環境相時代に森林伐採を推進して国際的な批判を浴びた上、汚職の疑いもあり、ボルソナロ政権で最も物議を醸した大臣のひとりと目されていた。
サレス氏は以前に所属していた政党ノーヴォからも破門されており、PLが受け入れるかどうかが注目される。また、タルシジオ氏が知事選に出ない場合、サレス氏は下議選への出馬を考えているようだ。
PLきってのボルソナロ支持者のジオヴァニ・シェリーニ下議は、今回のボルソナロ氏の入党で、現状43人の下議数が70人となり、下院最大政党になるとの独自の見方を示している。
同党に加わると見られている下議の大半は大統領の前所属政党の社会自由党(PSL)の議員で、セルジオ・モロ氏を大統領候補に擁立するポデモスからも、党の姿勢に反対する下議の移籍がありうるという。
その一方で、マルセロ・ラモス下院副議長をはじめ、PLからの離党をほのめかしている下議も少なくない。