【既報関連】投票用のアプリの不具合のため、21日の午後から中断している民主社会党(PSDB)の大統領選候補選出のための党内選挙は、25日を終えた時点でもアプリの不具合改善のめどが立っていない。これにより、「28日までにすべて終わらせる」とした当初の予定通りにことが進むのか、不安視されている。25、26日付現地紙、サイトが報じている。
21日に予定されていた党内選挙の一次投票は、サンパウロ州知事のジョアン・ドリア氏、リオ・グランデ・ド・スル州知事のエドゥアルド・レイテ氏、アマゾナス州マナウス元市長のアルトゥール・ヴィルジリオ氏の中から、過半数を超える人が出ればその時点で決定、出なければ28日に予定されている決選投票に進出する2候補を決めるためのものだった。
だが、4万4千人の党員の投票を専用アプリで行おうとした結果、顔認証で問題が起きて中断。現時点では、事前登録していた党員のわずか8%分しか、認証されていない。
同党党首のブルーノ・アラウージョ党首は、「アプリが改善され次第、投票を再開する」と22日に語っていた。だが、同党が代替のアプリとして採用しようとしたレラタソフト社のアプリのテストがうまくいかず、却下された。
さらに24日、21日に使ったアプリを開発したリオ・グランデ・ド・スル州連邦大学支援財団(Faurgs)が「アプリがハッキングにあっていた可能性が大いにある」と発表するなど、混乱が続いている。
PSDBは25日、新たにビー・ヴォーターという会社と契約し、同日の夜から翌26日にかけて、同社のアプリがうまくいくかどうかのテストを行うと発表した。26日午前中の段階ではテストの結果はわかっていない。
ただ、PSDBの上層部は楽観的な見方を示しており、「27日には投票が再開されるだろう」としている。
3候補のうち、ドリア氏とヴィルジリオ氏も、「28日までに投票を終わらせてほしい」と願っている。この両者は共闘の意識が強く、23日は両者揃っての会見で、「われわれは党の脱ボルソナロ化のために戦わなければならない」と主張している。
一方、22日にはドリア氏の選挙不正疑惑を唱え、48時間以内に一次投票を終わらせるよう主張していたレイテ氏の言動がここにきてトーンダウンしており、支持者を不安にさせている。その一方でドリア氏が、「今回の選挙はレイテ氏に有利になるように進んでいたのだ」と言い始めるなどしている。
セルジオ・モロ氏(ポデモス)をはじめ、他党がルーラ氏、ボルソナロ氏につぐ「第3の候補」になるべき候補者を出し始めている中、PSDBとしては、アプリの開発と再調整だけで160万レアルという巨額の資金をかけた党内選挙の延期や、ドリア氏とレイテ氏の足の引っ張り合いで一般の人たちに悪印象を持たれること、大統領選に出遅れることは避けたいところだ。