リオ州高等裁判所が、リオ州マリカー市の環境保護区(APA)内のレスチンガ・デ・ザカリアス地区で進められていたリゾート開発計画に関して出ていた、ライセンスや細分化、建設などの許可申請を差し止める司法判断が有効である事を確認し、官報に掲載したと26日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
レスチンガ・デ・ザカリアスでのリゾート開発はIDBブラジル社の企画だ。高等裁は同件に関し、「訴訟対象地域は希少で絶滅の危機にある生態系のレスチンガ(海浜植物)からなる。レスチンガは不動産とレジャーを念頭においた開発計画との関係で生じる絶え間ない圧力によって、国内でも最も脅威にさらされているものの一つで、高等裁にはいくつもの前例がある」と記している。
問題の判決は、ラグナス・デ・マリカ環境保護協会が2009年に起こした民事訴訟の一環だ。原告にはザカリアスの漁師の文化とレジャー・コミュニティ協会も加わっており、州の公選弁護人が訴訟を代行していた。また、集団的権利に関する訴訟であるため、リオ州検察局(MPRJ)も関与している。
リゾート開発計画に関わる裁判は10年以上続いている。同計画では複数のホテルや複数のクラブ、ゴルフ場、乗馬センター、ショッピングセンター、民家やビル、レストラン、学校の建設が予定されている。
MPRJはAPAの開発に反対の立場だが、州環境研究所(Inea)が2015年に仮の環境ライセンスを出した事で司法の場での係争が激しくなった。
同地域開発のための環境ライセンスはこれまでも、無効化されたり、有効化されたりを繰り返していたが、今回は、高等裁判事の司法判断で差し止められたライセンスなどの無効化を支持する判決が下った。
環境運動家や地域の伝統的な漁業コミュニティの反対運動は開発計画に関する噂が流れた時から始まった。運動家や漁師達は、この複合施設が漁業で生計を立てている約200世帯の生計だけでなく、固有種の動植物や渡り鳥、珍しい砂丘、歴史的、考古学的な価値のある場所を危機にさらすと主張している。
この地域の漁師達は乾いた木の枝を水に沈めて微生物の増殖を刺激して魚をひきつける、「枝釣り」という独特な漁法を開発してきたが、それも絶滅する可能性がある。
ただ、Ineaが開いた公聴会では市が開発に賛同する姿勢を見せている。また、漁業継続を諦めた人達も、リゾート開発は雇用を生み出し、地域経済を発展させるし、安定した収入が見込めるようになると主張した。
問題の地域はIDBブラジルが購入。高等裁は同社が環境保護区である事を知っていながら開発計画を立てたとしたが、同社側は2005年と2007年の知事令で環境保護区の境界線に変更が加えられたから開発は可能と主張。州政府とIDBブラジル、マリカー市は開発計画は環境を破壊しないと訴え、地裁で勝訴したが、環境運動家らは知事令は違憲と訴え続け、高等裁でライセンス差し止めなどの司法判断を得ていた。
今回の判決は、高等裁が以前出したライセンスなどの差し止め判決を不服とした市役所の訴えに対し、ライセンスを再度指しとめる司法判断が出た事で、市役所が再度控訴。それに対する最後の差し止め判決となった。この判決では建設そのものではなく、ライセンスなどを差し止めている。