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日系農業功労者3人を顕彰=第50回山本喜誉司賞授与式=「歴史ある賞もらい光栄」

前列左端が岸本晟氏、3人目が平上文雄氏、右から2人目が成田信義氏

前列左端が岸本晟氏、3人目が平上文雄氏、右から2人目が成田信義氏

 日系人農業従事者の中から農業に大きく貢献した人を顕彰する「第50回山本喜誉司賞授与式」が、11月5日午後7時から文協貴賓室で行われた。受賞者は次の3氏。サンタカタリーナ州でリンゴ生産を始め、ワイン用ブドウの生産とワイン製造、それらの流通販売を行った平上文雄氏(ヒラガミ・フミオ)(72、和歌山県、サンタカタリーナ州サンジョアキン市在住)。蔬菜類の育種、様々な野菜の交配種、イチゴのビールス・フリー苗等の開発、肥培管理の指導と普及に尽力した岸本晟氏(キシモト・アキラ)(81、兵庫県、サンパウロ市ヴィラ・ソニア在住)。聖州アグロフォレストリー技術局の科学研究員を務めている成田信義(ナリタ・ノブヨシ)(60、二世、プレジデンテ・プルデンテ在住)だ。


 感染対策を徹底して開かれた同式典には、受賞者とその家族、関係者などが参加。また桑名良輔在聖総領事や、JICAの江口雅之ブラジル所長、サンパウロ州技術・農業ビジネス庁のセルジオ・ルイス・ドス・サントス・ツツイ氏、文協の石川レナト会長が参加した。
 山本喜誉司賞選考委員会の本多泉美委員長が当日の式典に参加できなかったため、代理として同会副委員長のツネシロ・アルフレッド氏が開会の挨拶を行った。ツネシロ氏は「山本喜誉司賞は歴史ある名誉な賞。広大なブラジルにおいて貢献した3氏を心から表彰します」と説明。受賞者の3氏と家族が表彰され式典プレートと記念品が送られた。
 平上さんは、1970年代にサンタカタリーナ州サンジョアキン市で大規模なリンゴ生産を開始。戦後移住者として同地のりんご生産を一大生産地にまで拡大させた功労者。「まさか私が受賞者に選ばれるとは思いませんでした。本当に嬉しく光栄です。ここまでの道のり、多くの方に支えられてきました。これからも皆に喜ばれる美味しいりんごやブドウ、ワインを作っていきます」と胸中を述べた。
 岸本さんは、1961年に日本学生移住連盟の第二次南米学生実習調査団として11カ月の農業実習を行った。その後、兵庫農科大学などで農業を学び65年にブラジル移住。長らく農業技師として活動し農業に貢献していたが、妻が腰の病気が患い、それをきっかけに整体師に転身し96年に治療院を開設した。
 「ながらくブラジル農業に携わっていなかったので、今回の受賞には本当に驚いております。何年越しの評価でしょうか…。本当に嬉しい思いと感慨深い気持ちでいっぱいです。調査団への参加を後押ししてくれた当時の先生や、ブラジル農業技師の道のきっかけをくれた長井邦夫さん、その他に心のそこから感謝いたします」と深々とお辞儀した。
 成田さんは、今回の受賞者で最年少。両親は、もともとコチア産業組合でじゃがいもの生産者だったという。「このたびの受賞は本当に嬉しい。両親の影響もあり、常に農業の中で生きてきました。これまで多くの人に支えられてここまできましたが、これからもブラジル農業に貢献していきたい」と笑顔を浮かべた。
 式典に参加した江口所長は「今日受賞した方に心から敬意を表したい。日系人がブラジル農業に与えた発展と貢献は本当に大きいと感じています。これからもさらなる飛躍を願っております」と述べた。