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《ブラジル》最高裁も大統領長男に議員特権認める=疑惑の証拠も大半無効に

フラヴィオ上議(Wilson Dias/Agencia Brasil)

 最高裁第2小法廷は11月30日、フラヴィオ・ボルソナロ上議の議員特権(フォロ・プリヴィレジアド)を維持し、職員給与のピンはね(ラシャジーニャ)疑惑に関する裁判の管轄を高等裁に据え置いた上、金融活動管理審議会(COAF)からの報告の大半を無効にする判断を行った。11月30日、12月1日付現地紙、サイトが報じている。
 この審理は、リオ州での刑事裁判第2審を扱う第3刑事法廷が昨年6月に下した、フラヴィオ氏のフォロを認め、裁判の管轄をリオ州地裁から高等裁特別班に移した判決を不服としたリオ州検察局が、最高裁に控訴した件に関するものだ。
 ラシャジーニャ疑惑の管轄は、第3刑事法廷での判断が出るまでは、第1審を扱うリオ地裁第27刑事法廷のフラヴィオ・イタバイアーナ判事だった。リオ州検察局は同判事に対し、フラヴィオ氏を公金横領、犯罪計画などの容疑で起訴していた。
 第3刑事法廷は、フラヴィオ氏に関する疑惑が生じた時はリオ州議だったので、リオ地裁ではなく、第2審レベルの裁判所が扱うべきとのフラヴィオ氏の主張を認めたが、リオ州検察局は、州議としてのフォロは州議を退任したときになくなっており、フラヴィオ氏の件は第1審で扱えるはずと主張していた。

 だが、11月9日に高等裁第5小法廷が、フラヴィオ氏に対するイタバイアーナ判事の判断を全て無効にする判断を下したことで、検察側にかなり不利になっていた。高等裁派、フラヴィオ氏に対するラシャジーニャ疑惑の捜査再開のためには、再度の告発が必要との判断も下している。
 この日の最高裁第2小法廷での審理も、報告官をつとめたジウマール・メンデス判事が「高等裁の判断は、最高裁の定めたフォロの規定にも準じている」として、高等裁の判断を支持。それにリカルド・レヴァンドウスキー、カシオ・マルケス判事も続いた。唯一、エジソン・ファキン判事が反対したが、3―1で、フラヴィオ氏のフォロが認められることとなった。
 また、この日の審理では、検察がフラヴィオ氏がラシャジーニャを行っていたことの証拠としたCOAFからの五つの報告のうち四つを、これもフォロと同じ判事投票3―1で無効とした。
 フラヴィオ氏が、ボルソナロ大統領の友人のファブリシオ・ケイロス氏やその一家、大統領前妻のアナ・クリスチーナ氏の一家を幽霊職員として、給料日の直後に給与のほぼ全額をケイロス氏の口座に振り込ませていた疑惑は、COAFの捜査から浮上していた。