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「時空と世界を超えて」テーマに=第61回海外日系人大会=秋篠宮皇嗣殿下や茂木外相も挨拶 (上)=平井会長「日本人の魂見せて乗り越える」

秋篠宮皇嗣陛下

秋篠宮皇嗣陛下

 公益財団法人海外日系人協会(平井伸治会長、横浜市所在)は『第61回海外日系人大会』を日本時間10月30・31日の10時から「新時代への挑戦―時空と世界を超えてつながる日系」をテーマにオンライン開催した。日本を含む32カ国から560人が参加を申し込み、オンライン上で一堂に会した。1日目は募集したロゴマークの結果や、「新時代の挑戦 時空と世代を超えて繋がる日系」の基調講演が行われた。大会には秋篠宮皇嗣殿下や茂木敏充外務大臣といった政府関係者からのビデオメッセージが寄せられ公開された。

 

平井伸治会長挨拶

平井伸治会長挨拶

 平井会長は関係者や出演者に感謝を述べたあと、「今後も外国で頑張っている皆様と日本の懸け橋を結んで参りたいと思っております」と意気込みを語った。コロナ禍に触れ「各国で苦労を重ねていると思います。国境をこえ私達が力を合わせる事で、日本人の魂を見せ、共に乗り越えて行ければと思います」と国外の日系人との交流・協力事業を進めていきたいという方針も示した。
 秋篠宮皇嗣殿下のビデオメッセージでは、世界の日系団体がコロナ禍で人的・経済的打撃を受けた事を心配すると共に、状況打破のため台等する若い世代にふれ「地域や国境をこえた新たな連係の広がりが実現しつつあると聞き及んでおり、大変心強く思っております」とコメントを寄せた。
 茂木外務大臣は今年開催されたオリ・パラリンピックで日本にルーツを持つ海外選手も多く参加した事などを挙げ「新しい世代の日系人の皆さんが自らのルーツである日本との懸け橋となってくれる事を期待します」と活躍に期待をよせた。
 昨年1月に来伯していた山東昭子参議院議長は、移民史料館の訪問や当地日系移民との交流を振り返り、「ご苦労の末、現地社会で信頼を得てそれぞれの分野でご活躍をしている姿をみて胸がいっぱいになりました」と述べた。
 9カ国からの日系団体代表者からもビデオメッセージが寄せられ、各国日系社会や団体の状況等も報告された。当地を代表してブラジル日本文化福祉協会の石川レナト会長も参加し、国外に向けて活動を説明した。
 米国はニューヨーク、南カリフォルニア、ハワイの日系人団体がメッセージを寄せ、ほかメキシコ、キューバ、ペルー、ボリビア、パ国、亜国、フィリピンの日系団体会長や役員からメッセージが寄せられた。

国際日系デーロゴマークはペルーのイトウさん

選ばれた国際日系デーのロゴデザイン

選ばれた国際日系デーのロゴデザイン

 同大会では今年8月31日まで募集していた『国際日系デー』のロゴマークの発表も行われ、ペルーのアキミツ・イトウさんのロゴマークが採用作品に選ばれた。イトウさんは来年日本で開催予定の海外日系人大会に副賞で招待される。
 採用されたロゴマークは赤い鶴をシンボル化したデザイン。多様な日系人を結びつけるのは「移民の歴史」であるとして、「歴史」を表現した本の形を翼の形と組合せている。鶴が左側を向いている理由は、太陽が昇る東(右)から西に向かって飛ぶ様を、日本から世界各国へ移住した日系人を表現しているという。

(つづき3段 カタ)

 


「時空と世代を超えて繋がる日系人」=松本アルベルト氏基調講演

基調講演の講師を務めた松本アルベルトさん

基調講演の講師を務めた松本アルベルトさん

 「日系人は時空を越え、一世からレガシー(遺産)を受け継いだ。最新技術や知識を活用する事で社会への貢献を拡大できる。そしてより日本がコミット出来るよう我々が橋渡しの役割を強化しなくてはならない。日系人の覚悟と人的ネットワークがより必要」――1日目終盤の基調講演「新時代の挑戦 時空と世代を超えて繋がる日系」で、松本アルベルト氏はそう総括した。
 アルゼンチン二世の松本氏は、日本でスペイン語の商業・渉外法務翻訳を行う合資会社イデア・ネットワークの代表を務める。講演では「コロナ禍後の日本と外から見る日本の期待」「ラテンアメリカ日系人社会の挑戦―フィンテックとデジタル化」「日本の南米出身の日系人と課題」の三つの話題について紹介した。
 コロナ禍により日系社会でもリモート会議が活性化し、去年半ば頃から南米諸国で開催されたシンポジウムに松本氏もリモートで参加。「正常化後も継続が望ましく、中南米と日本の強化に繋がる」と述べた。
 また、近年のデジタル世代が立ち上げた新技術サービスや、SDGsに関するビジネスにもヒントが隠されているとし、「活用する事で市場や横の拡がりを拡大できるのでは」と提案する。
 その後、松本氏へ質疑応答が行われ「日本生まれの二・三世が育っているが、国内での同国籍や日本人との結婚は出てきているか」「日本の学校で日系の歴史を余り教えないのはなぜか」「在日日系人のなかで日系団体が出来ないのは何故か」などの質問が寄せられた。