2日、ブラジル地理統計院(IBGE)が、第3四半期の国内総生産(GDP)は前期比で0・1%減を記録したと発表した。IBGEは同時に、第1四半期のGDPを1・2%増から1・3%増に、第2四半期は0・1%減を0・4%減に見直した。これにより、ブラジルは2期連続でマイナスとなり、リセッション(景気後退)に入った。2日付現地サイトが報じている。
第3四半期は、GDP全体の7割を占めるサービス部門が1・1%の上昇を記録した。これを引き上げたのは家族消費を意味する「その他のサービス活動」の4・4%増で、「情報とコミュニケーション」の2・4%増、「運輸・保管・郵便」の1・2%がこれに続いた。これらの項目では、ワクチン接種の進展で人の動きが活性化し、経済活動が再開に向かった結果、家庭消費の中心が商品購入からサービス利用に移ったことがうかがわれる。
だが、原材料費の高騰や原材料不足、電力危機により全体の2割を占める工業がゼロ成長に終わった上、水危機の影響で農業部門が8%減と大きく後退したことが響いた。
また、輸出が9・8%減、輸入も8・3%減となり、成長を妨げた。輸出が振るわなかった原因の一つは、大豆を中心とする主要な農産物が端境期に入ったことだ。ブラジルの場合、農産物はコモディティ輸出の中核をなしている。
また、家庭消費は0・9%、政府支出が0・8%の増加を見せたが、商業は0・4%減、投資は0・1%減となった。
これにより、GDPは0・4%減だった第2四半期に続く前期比減となり、リセッションとみなされる状態に入った。2期連続後退はパンデミックに入る直前と突入直後の20年第1四半期(2・3%減)、第2四半期(8・9%減)以来のことだ。
ただし、昨年同期比では4%増えており、1~9月の累積も昨年同期比で5・7%の増加となっている。
第3四半期の成長率を国際的に見ると、先進国、新興国の多くはGDPが増加しており、減少していたのはブラジルと日本(0・8%減)だけだった。
11月29日に発表された中央銀行の「フォーカス」では、21年のブラジルのGDP成長予測が4・80%増から4・78%に下方修正されていた。
IBGEの見方によると、2022年も、インフレ高進と、アウシリオ・ブラジル導入のために財政支出上限を事実上撤廃したことの影響で厳しい見通しとなっている。
経済省では、景気後退の衝撃を和らげるため、第3四半期の落ち込みの原因は水危機を含む気候上の問題と電力危機と説明している。
★2021年11月23日《ブラジル》フォーカス=インフレ予測遂に2桁に=GDP成長率は下方修正
★2021年7月16日《ブラジル》経済省GDP成長予測5・3%に=インフレは5・9%へ上昇
★2021年6月2日《ブラジル》第1四半期にGDPが1・2%成長=感染第2波が進む中でも=庶民の実感とは程遠く