民主社会党(PSDB)の来年の大統領選の候補者が、投票アプリの不具合などのトラブルの末にジョアン・ドリア聖州知事に決まった。当初は、党のそうそうたる重鎮の支持を得ていたエドゥアルド・レイテ南大河州知事が有利かとも見られていた。だが、蓋を開けてみれば、予想を下回る、接戦とも言い難い結果でのドリア氏の勝利となった。
ただ、コラム子はドリア氏の勝利より、レイテ氏の敗戦の方が気になった。同党の強力な地盤であるミナス・ジェライス州や北東部を抑えながらなぜ勝利できなかったのか。そこでコラム子は気になるポイントを見つけた。
それは、もう一人の候補、アルトゥール・ヴィルジリオ氏が放った強烈な一言だった。「アエシオ氏は腐ったリンゴ」「レイテ氏はアエシオ氏の操り人形」。これが効いたのではないかと思っている。
ヴィルジリオ氏は党内きってのアンチ・ボルソナロ派として知られ、18年の大統領選決選投票でもPSDBの宿敵である労働者党(PT)のハダジ氏に投票したことを公言しているほど。その同氏が、アプリ故障で投票中断中に行ったこの発言が、党大会の目的がそもそも何であるのかを思い起こさせたように思う。
アエシオ氏は2017年のJBSスキャンダルで収賄の現行犯逮捕直前まで行ったことで党主の座を追われ、権威を失墜させていたが、今回の選挙で裏で暗躍し、レイテ氏の後ろ盾になっていたと報じられていた。
レイテ氏はアプリの不具合が起こった際、証拠もなくドリア氏の不正疑惑を訴えたが、これが2014年の大統領選でアエシオ氏がジウマ氏に敗れた直後に行った行為を思い起こさせた。さらに言えば、そのアエシオ氏はかねてからボルソナロ大統領とかなり親しい間柄で知られ、いまだに一部で「来年の大統領選でボルソナロ氏の副候補を狙っている」との噂まで立てられていたほどだ。
こうなってしまうと「レイテ氏は本当に党の求める反ボルソナロ候補になりうるのか」「党の見本にならないアエシオ氏の悪影響を受けているのではないか」との空気が流れたとしても不思議はない。
さらに悪いことに、21日の投票日に「ボルソナロ氏を追って自由党に移籍する」と宣言したマラ・ロシャ下議が、レイテ氏同様にドリア氏の不正疑惑を証拠無しに主張した。これも「レイテ氏の支持者はこんな人」との悪印象を植え付けかねないものとなってしまった。
これでは文字どおり「腐ったリンゴ」のごとく、悪い政治マナーを党に広めていると思われても仕方がないアエシオ氏。今回の敗戦で党内での肩身はますます狭いものになった。(陽)