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《ブラジル》「最後の秘境」が荒らされる?=政府がアマゾン金鉱調査を許可=保護対象の先住民居住地で=環境違反の企業まで参加

ヤノマミ族の集落の一つ(Terra Indígena Yanomami/Leonardo Prado/PG/FotosPúblicas/2015)

 アウグスト・エレーノ大統領府安全保障室(GSI)長官が、アマゾナス州の先住民居住区での大規模な金鉱調査プロジェクトを進めることを了承していたことが判明。先住民居住地域の破壊行為や環境違反で問題となった企業への許可などを含め、問題となっている。5~7日付現地紙、サイトが報じている。
 エレーノ長官は、ボルソナロ大統領にとって軍人時代からの旧知の人物で、国の主権と防衛などに関する問題を取り扱う国家防衛評議会(国防評議会)の事務局長でもある。同評議会には副大統領、上下両院議長、法務、国防、外務、経済の各大臣、三軍の長が参加しており、事務局長には国防上重要な国境から150キロ幅の地域における活動許可を出す権限が与えられている。
 フォーリャ紙などによると、同長官はアマゾナス州の国境地帯での金鉱調査プロジェクト七つを進めることを了承したという。プロジェクトの対象地域はコロンビアやベネズエラと国境を接する同州の極北西部だ。承認されたのは、国家鉱業庁(ANM)が転送したプロジェクト七つで、未開発のアマゾナス州奥地での金鉱調査許可は、過去10年間で初めてだ。
 問題となった地域はサンガブリエル・ダ・カショエイラで、別名「カベッサ・ド・カショエイラ」とも呼ばれている。ここは23の部族が生活する、国内でも有数の先住民居住地区で、人口の76・6%を先住民が占めている。
 ここは同時に、アマゾンでもっとも自然が保護されている地域で、森林伐採などが行われていない「最後の秘境」の一つだった。
 フォーリャ紙が過去10年間の連邦官報に掲載されたGSIの報告を調べたところ、国境地域での活動に関する国防評議会の許可を意味する「事前同意」は2004ある。
 サンガブリエル・ダ・カショエイラでの金鉱調査許可は2021年が初めてで、民間企業が金の鉱床の有無を確認するための分析と研究活動を行うことが認められた。

エレーノ長官(Marcello Casal Jr./Agencia Brasil)

 エレンコ氏が2019年以降に出したアマゾナス州での鉱業関連の許可は81件で、今年は2日までに、過去最多の45件の許可が出ている。サンガブリエル・ダ・カショエイラでの最初の許可は4月7日で、65・8ヘクタールの調査が認められた。
 その後も、7月26日に553・5ヘクタール、8月16日には354、215、1110ヘクタールの3件、12月2日には9676ヘクタールと764ヘクタールの2件の許可が出た。調査地域の総計は1万2700ヘクタールを超えている。
 アマゾナス州での金鉱調査の対象地域は、サンガブリエル・ダ・カショエイラの東に位置するサンタイザベル・ド・リオ・ネグロ地区や南に位置するジャプラー地区にも及んでいる。
 また、法定アマゾンでの金鉱調査の許可が、環境法違反で摘発され、国立再生可能天然資源環境院(Ibama)による活動差し止め処分を受けている企業や、アマゾン川の川底からの金採取で摘発された人物にも与えられていたことも問題となっている。
 8月16日にサンガブリエル・ダ・カショエイラでの1110ヘクタールの調査許可を受けたSFパイム社はその一例で、7月31日にアマゾナス州タパウアーでの活動を差し止められている。
 エレーノ長官は、マット・グロッソ州のポンテス市やラセルダ市などでの調査を行っているミネラソン・サンタエリナ・インドゥストリア・エ・コメルシオという企業にも、5月27日に4205ヘクタール、2日にも7649ヘクタールのの調査許可を与えている。同社は2009年、14年、16年、20年の4度、麻州とロンドニア州で活動差し止め処分にあっている。
 連邦検察庁は同件に関する捜査をはじめたが、エレーノ長官は「自分にはその権限があり、法的に問題はない」と反論している。

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