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《ブラジル》最高裁「秘密予算」差止めを解除=対策法案の承認受け

ローザ判事(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)

 最高裁のローザ・ウェベル判事は6日、自身が一時凍結させていた、別名「秘密予算(オルサメント・セクレト)」と呼ばれる不明朗な支出の支払いを解除した。上下両院が透明性を高め、上限を決める法案を承認したことに伴って解除したものと見られている。6、7日付現地紙、サイトが報じている。
 「秘密予算」は「報告官手当」と呼ばれ、各年度の予算案審議の報告官を担当した議員が振り分けることができる予算だ。この予算は、連邦政府や議会が是が非でも承認させたい法案がある際に頻繁に使われており、「公認された賄賂」などとも呼ばれている。
 それは、秘密予算を払い出すために報告官が出す予算補正案は、通常の議員割り当て金のような審査基準が適用されず、特定の議員たちだけに恩恵をもたらすという側面を持っているからで、かねてから批判の的となっていた。
 ローザ判事は11月5日、この秘密予算の支出を差し止める命令を下した。それは11月初旬に下院がプレカトリオ(裁判所が支払いを命じた賠償金など)の支払いに関する憲法改正法案(PEC)の承認をはかった際、10億レアルの秘密予算を支払ったとの報道が行われたためだ。
 これを問題視した社会主義自由党やシダダニアといった政党が起こした訴えをローザ判事が受け入れ、秘密予算の支出を差し止めた。また、この予算の支払いに関して、透明性とその詳細を公開することを求めた。

 最高裁は当初、秘密予算に厳しい姿勢を見せ、11月9日に行われた判事たちの全体審理でも、8対2でローザ判事の判断を支持していた。
 だが、連邦議会はこの判断に従うことを拒み、11月29日に下院、上院でこの「秘密予算」に上限を設ける法案を承認した。この上限は1年に162億レアルまでと、かなり緩いものだったために議員たちの支持を得ることとなった。
 今回のローザ判事の判断は、上下両院議長が提出した、報告官による予算修正案に基づく予算の払い出し停止は、「健康と教育に関する分野を中心とする、国民に不可欠な公共サービスの継続に対するリスクを招く」との主張を一部、認めた形となった。ただし、この判断も大法廷での審理を必要としている。
 下院では11月、ローザ判事の秘密予算の支払い差し止めに強い反対の動きが起こっていた。それは、通称「プレカトリオのPEC」がボルソナロ大統領による新社会保障プログラム「アウシリオ・ブラジル」の支給額を平均で400レアルに引き上げるために不可欠なものだったからだ。
 下院は11月下旬に、最高裁の定年年齢を引き下げる法案審議を進めようとしたが、これもローザ判事の処分への報復ととらえられていた。この法案では最高裁判事の定年を75歳から70歳に引き下げようとしているが、ローザ判事は73歳でこれに該当している。