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《ブラジル》貯蓄預金=引き出しが預け入れ上回る=過去最大の123億レアル

インフレ高進や所得減少などで通貨価値が下がっているレアル紙幣(Marcello Casal Jr./Agencia Brasil)

 中央銀行が6日、11月の貯蓄預金(ポウパンサ)の引き出し額は預け入れ額を123億7700万レアル上回り、1995年の導入以来、最大の引き出し超過となったと発表したと同日付現地サイトが報じた。
 11月の預け入れ額は2817億1300万レアル、引き出し額は2940億9千万レアルだった。2020年11月は預け入れ額が引き出し額を14億7900万レアル上回っていた。
 1月からの累積では、431億5700万レアルの引き出し超過となっている。2020年は預け入れ額が引き出し額を1663億1千万レアル上回っていた。
 20年のポウパンサが史上最大の入超となったのは、新型コロナのパンデミックのため、連邦政府が導入した緊急支援金が受給用に開設されたポウパンサの口座に振り込まれた事で、預け入れ額そのものが増えた事と、経済基本金利(Selic)やインフレ率が低い時はそれなりの利息がつくポウパンサが、投資という観点からも有利と見られ、引き出し額が減少した事などが原因だ。

 だが、今年の場合は、緊急支援金の支給対象者や支給総額が減った事、雇用は回復傾向にあったものの実質所得は目減りした事、インフレ高進で減額した所得では家計を賄いきれず、預金を取り崩す必要が生じた人がいる事などで、引き出し額が増えたと思われる。
 また、11月のポウパンサの利率は0・44%で、15日締めの広範囲消費者物価指数(IPCA―15)の1・17%を下回った事からも明らかなように、ポウパンサに預金していてもインフレ高進で目減りし始めた事なども引き出し額増加の原因と見られている。