4日午前11時からピラール・ド・スル(以下、ピラールと略)文化体育協会(盛岡正会長)会館で『ピラール日本語学校』教室落成式が行われた。増築された新校舎は日本政府の令和2年度(2020年)草の根文化無償資金協力により完成、同日供与された。
会場にはマルコ・アウレリオ・ソアレス・ピラール市長、安田ツトム市議会議長、桑名良輔在サンパウロ総領事、江口雅之国際協力機構ブラジル事務所所長、山下譲二ブラジル日本文化福祉協会会長、聖南西文化体育連盟の山村敏明会長はじめ傘下の25会員団体代表ら総勢200人が参列した。桑名総領事は同学校教室を視察し黒板を見て「レベルが高い」と激賞した。
本プロジェクトでは、現状の教室不足を改善し、今後見込まれる児童・生徒数のさらなる増加に対応するため、職員室1室、教室1室、会議室1室、トイレ2ブース、流し台1カ所を新校舎として増築。
加えて本年JIC助成金交付事業により購入した大型テレビ2台とパソコン4台を活用することにより、より効果的な教育活動が可能となり、今年1年対面で行っている授業が、今後再びオンライン授業に移行せざるを得ない状況になっても対応が容易となり、日系・非日系に関わらず多くの若手の人材が育成されることが期待される。
落成式は同学校卒業生の日伯両語の司会で来賓が紹介され、着席後、伯日国歌が斉唱された。
森岡会長は「約2年に及ぶパンデミックで、私たちは地域、国、世界の人々との連帯や相互援助がいかに重要かを実感した。私たち文協の大きな願いは、日本とブラジルの〝文化の懸け橋〟となること。道徳をはじめ日本文化の良いところは日本人、日系人の子孫だけでなく、非日系人の子供たちや市民にも伝えられ広がっている。日本の文化、伝統を子供に伝えていくことは、農業に例えると良い種をまくようなもの。家族と友達の間にこの〝懸け橋〟を築き、子供たちにより良い世界に生きる希望を持たせることができるように願う」と挨拶した。
生徒代表の井伊さゆみさん(16歳、三世)は日本語で、「以前は校舎から少し離れた会館内の事務室兼用の狭くて暗くて冷たい部屋の中まで行かなければならず、お化けがでるのではないかと怖く、雨の時はいつも濡れてしまっていました。人口2万8000人の小さな町にも関わらず、この新しい教室を作るのに援助して頂き、総領事館の皆様に感謝します」と感謝した。
聖南西文化体育連盟の山村会長、江口JICAブラジル所長、ピラール市長に続き、桑名総領事が日伯両語で「日本とブラジルの相互理解と絆を深めていただきたい」と期待の言葉を述べた。
日本語学校教室増築プロジェクト推進委員会の阿部委員長は経過報告した。教室増築に貢献した7人に感謝状が贈られた後、新教室前に移動した。同地文化体育協会の和太鼓部『親友太鼓』部員18人が2曲演奏、来賓を歓迎した。
新教室前で桑名総領事、森岡会長、阿部副会長3人がテープカット、続いて記念プレートの除幕が行われた。阿部副会長が新教室ほか各教室を案内した。会館に移動して祝賀会を行った。